1998 Fiscal Year Annual Research Report
超微量糖脂質の糖鎖構造解析のためのナノエレクトロスプレーLC/MS法の改良と応用
Project/Area Number |
09680583
|
Research Institution | Tokyo medical and dental university |
Principal Investigator |
笠間 健嗣 東京医科歯科大学, 機器分析センター, 助教授 (80124668)
|
Keywords | エレクトロスプレー / 質量分析 / LC / MS / 液体クロマトグラフィー / 糖脂質 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、糖脂質糖鎖構造解析の迅速・簡便化を目指したナノエレクトロスプレーイオン化LC/MSの改良を試みた。従来用いられてきたFABMSあるいはSIMSによる糖脂質糖鎖の構造解析法は、MS/MSを用いることなく迅速に糖鎖構造情報が得られる点で常用手段となっている。しかしながら、近年イオントラップMSなどの登場により低価格で操作が容易なMS/MS装置を設置できるようになってきた。高感度なイオン化法であるナノエレクトロスプレーと組み合わせることができれば、現在のFABMSやSIMSに取って代われるとともに、単離精製まで至らない試料に対してもLC/MS/MSにより糖鎖構造解析の道が開けることになる。 昨年は、ハロゲン系溶媒を含むスプレー溶媒を用いて負イオンエレクトロスプレーを行うことが糖脂質分析に適していることを明らかにした。溶媒へのアンモニアやトリメチルアミンの添加も効率的なイオン生成に効果があることがわかった。今年度の研究では、ナノエレクトロスプレーをLC/MSに適合させるにはLCの精確な流量制御が現状では困難なことや、内径がマイクロメーター程度のスプレーノズルの目詰まり対策が難しいことがわかった。実用的には、内径数十から50マイクロメートルのスプレーノズルがマイクロLC/MSに適している。マイクロLCに用いるHPLCポンプはマイクロリッター送液に適した専用ポンプが必要となることもわかったが、現状ではコストの面で従来機種を用いることになった。LCカラムは溶融石英キャピラリーを用いて作成することで、カラム出口をスプレーチップ直前に配置し、溶出バンドの拡散を軽減させる計画であったが、ケイ酸カリウムを用いて形成するフリットの安定な作成ができず、現在も試行錯誤中である。 今後、引き続き糖脂質糖鎖構造解析の微量か分析に向けた研究を継続して行く計画である。
|