1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680586
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
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Keywords | tRNA / endonuclease / mitochondria / 核膜 |
Research Abstract |
本研究では、当初、核内膜に存在すると考えられていた酵母tRNA endonucleaseのサブユニットSen2pをモデルとし、核内膜への膜蛋白質の局在化因子の遺伝学的同定を目指した。しかし、本年度の研究で、このSen複合体が核内膜に存在しないことを強く示すデータが得られた。膜貫通可能な疎水領域を持つSen2pは、免疫蛍光抗体法により、核には存在せず、細胞質およびミトコンドリア上に点状に分布することが明らかとなった。しかも、Sen2pは内在性膜蛋白質ではなく、ミトコンドリア外膜などの細胞質側に結合した表在性膜蛋白質であった。部分欠失変異の解析によれば、ミトコンドリアへの分布に必要な部位は、N-末端90残基内に存在した。膜貫通可能と思われていた223-243残基の疎水領域は、単独では膜貫通領域として機能して小胞体局在化シグナルとなりうるが、よりC-末端側の配列があると可溶性の蛋白質の疎水コアになることが示唆された。この領域は、古細菌のtRNA endonucleaseとの相同性の高い領域であり、古細菌の蛋白質が可溶性であることからも、蛋白質内部の疎水コアだと考えるのが妥当である。他方、Sen2pと直接相互作用することが知られているScn54pも、ミトコンドリア局在を示し、ミトコンドリア外膜の細胞質側に結合した表在性膜蛋白質であった。Sen54pは、SV40 Large T抗原のNLSと同じアミノ酸配列をもつにも関わらず、この配列ではなく、213-313残基の81アミノ酸でミトコンドリアに局在することが明らかとなった。この領域は、芳香族アミノ酸と塩基性アミノ酸に富む特徴を持ち、それらのミトコンドリア局在への関与に興味が持たれる。 本研究では、当初の目的と大きく異なる結果を得たが、既成のtRNA生合成の概念に修正を与えかねないこれらの結果は、今後とも、解析を続けてゆくに足るものであると考えられる。
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Research Products
(1 results)