1998 Fiscal Year Annual Research Report
Mer受容体に対するリガンドとしての新規Glaドメイン含有細胞増殖因子の同定
Project/Area Number |
09680596
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水野 健作 九州大学, 理学部, 助教授 (70128396)
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Keywords | 細胞増殖因子 / Gas6 / 受容体型チロシンキナーゼ / Mer / アンドロゲン結合蛋白質 / Glaドメイン |
Research Abstract |
私たちは、新規な受容体型チロシンキナーゼSkyのcDNAクローニングに成功し、そのリガンドが抗血液凝固因子プロテインSと類似した蛋白質Gas6であることを明らかにした。本研究ではSkyに類似した構造をもち、幅広い組織分布を示す受容体Merのリガンドを同定し、その生理機能を解明することを目的として研究を行った。昨年度、Gas6分子内のC末端部にある性ホルモン結合蛋白質様(SHBG)ドメインが受容体との結合や増殖促進活性に必要かつ十分であることを明らかにしたので、今年度は、SHBGドメインの配列に基づいてPCRおよびlow stringency hybridizationによって、Gas6に類似した新規な増殖因子のクローニングを行った。多数のPCR増幅断片ならびにhybridization positiveなcDNAクローンを得たが、Gas6とプロテインS以外にはGas6と相同なGlaドメイン含有蛋白質をコードするcDNAは得られなかった。また、アンドゲン結合蛋白質をコードするcDNAをマウス精巣cDNAよりPCRで増幅し、発現ベクターに組み込み、COS細胞で発現させ、精製し、Mer,Sky,Axlとの結合能を検討したが、いずれの受容体とも全く結合しなかった。以上の結果から、MerのリガンドとしてGas6以外の蛋白質は得られておらず、Gas6-Mer間の結合性の低さは、co-factorやco-receptorによって補われている可能性、あるいは生体内ではGas6濃度の高い部位でのみMer受容体が活性化される可能性などが考えられる。一方、Gas6は血管平滑筋細胞に対する増殖強化活性があることから、その作用機序について検討し、1)血管平滑筋細胞におけるAxlの発現、2)Axlの細胞外ドメインとIgGのFc領域の融合蛋白質Axl-Fcによる血管平滑筋細胞の増殖抑制効果を明らかにした。
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[Publications] Tanabe, K.: "Roles of γ-carboxylation and sex hormone-binding globulin-like domain in receptor-binding and in biological activities of Gas6." FEBS Lett.408. 306-310 (1997)
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[Publications] Nakano, T.: "Cell adhesion to phosphatidylserine mediated by a product of growth arrest-specific gene 6." J. Biol. Chem.272. 29411-29414 (1997)
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[Publications] 大橋一正: "Gas6とそのレセプター" 日本血栓止血学会誌. 9(6). 462-466 (1998)