1998 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロームP450の小胞体膜局在化機構ならびに細胞内動態
Project/Area Number |
09680598
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
阪口 雅郎 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30205736)
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Keywords | 小胞体 / シグナル配列 / トポロジー / 膜蛋白質 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
小胞体型膜タンパク質の典型としてチトクロームP450をとらえ、その合成・膜への組み込み・小胞体局在制御を含めた細胞内動態制御について以下の成果を挙げた。 【1】 P450の膜への結合に必須なI型シグナルアンカー配列(SA-I)が幅広くマルチスパン膜タンパク質の立体構造形成に機能していることが発見された。マルチスパン膜タンパク質(赤血球バンド3タンパク質)の組み込みにおいて、分子内の“SA-I"がそのアミノ末端側のセグメントを積極的に組み込むことが実証された。このモデルはいくつかの“SA-I"をもたせた人工モデルタンパク質の組み込み解析で詳細に実証され、さらにこの系で親水性セグメントですら膜貫通トポロジーを取りうることが明らかになった。 【2】 P450とシナプトタグミン2との組み換えモデルタンパク質による小胞体膜への組み込みに必要な構造の確定。I型シグナルアンカー配列の疎水領域のアミノ末端にターン構造を誘導するアミノ酸残基が特異的に要求されることが判明した。また、シナプトタグミン2では疎水領域が6アミノ酸残基欠落しても膜との結合機能にはほとんど影響ないことが明らかとなった。 【3】 I型シグナルアンカー配列の疎水性領域による細胞内局在制御 系統的な疎水領域の部分的欠損および改変変異体をもちいた実験から、チトクロームP450のようなI型シグナルアンカータンパク質でも、その長さに応じて小胞体局在性が制御されていることが明らかになった。この小胞体局在性は主に、小胞体からの輸送搬出の速度と小胞体におけるタンパク質の安定性によって制御を受けていることが明らかとなった。I型シグナルアンカータンパク質のアミノ末端に存在する小胞体内腔側の領域の局在制御における機能は、調節性分泌制御系が発達している培養細胞系(PC12細胞)を使った系において鋭意解析中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ota, K.: "Forced transmembrane orientation of hydrophilic polypeptide segments in multispanning membrane proteins." Mol. Cell.2. 495-503 (1998)
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[Publications] Ota, K.: "Assessment of topogenic functions of anticipated transmembrane segments of human Band3." J. Biol. Chem.273. 28286-28291 (1998)
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[Publications] Ishihara, N.: "Characterization of the initial steps of precursor import into rat liver mitoplasts." J. Biolchem.124. 824-834 (1998)
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[Publications] Kida, Y.: "Membrane topology of NADPH-cytochrome P450 reductase on the endoplasmic reticulum." Arch. Biochem. Biophys.351. 175-179 (1998)
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[Publications] Nakamura, N.: "Identification of potential regulatory elements for the transport of Emp24." Mol. Biol. Cell. 9. 3493-3503 (1998)
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[Publications] Hamasaki, N.: "A new concept in polytopic membrane proteins following from the study of band 3 protein." Biochem. Cell Biol.(in press).
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[Publications] 阪口 雅郎: "マルチスパン膜タンパク質の立体構造形成:親水性膜貫通セグメントの組み込みをも説明する新しいモデル." 細胞工学. 18. 102-112 (1998)