1997 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質リン酸化系による胃壁細胞プロトンポンプの調節機構
Project/Area Number |
09680608
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今川 敏明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20142177)
|
Keywords | H^+,K^+-ATPase / プロトンポンプ / PKC / c-SRC / チロシンキナーゼ / 胃 / 壁細胞 / リン酸化 |
Research Abstract |
1)HK-ATPaseの胃壁細胞におけるリン酸化に関する研究。 ラット胃より壁細胞を調製し、^<32>Pで標識後、HK-ATPaseのリン酸化について検討したが、リン酸化を検出することはできなかった。そこで、ラット及びウサギ等の小動物の胃粘膜層から調製したHK-ATPase標品について、内在性蛋白質リン酸化酵素によるリン酸化が検出されるか否かについて検討した結果、これらの小動物においても、ブタと同様のリン酸化が起こることが確認された。また、N末端のアミノ酸配列の分析結果より、分解を非常に受けやすいHK-ATPaseのN末端領域の切断が起こっていることが明らかとなった。これらの実験結果より、単離ラット胃壁細胞でリン酸化を観察することができなかったのは、HK-ATPaseを免役沈降操作等で精製する過程で混入していた蛋白質分解酵素を完全に抑制することが不可能なため、分解を非常に受けやすいHK-ATPaseのN末端領域の切断が起こっていることが原因であると推定された。 2)HK-ATPaseのN末端領域をリン酸化する蛋白質リン酸化酵素の同定。 HK-ATPaseのN末端領域のセリン^<27>をリン酸化する内在性酵素は、Ca^<2+>要求性・TPAによる活性化・阻害剤の特異性等からPKCであることが示唆された。特異的抗体を用いて検討したところ、PKCが胃粘膜層より調製したHK-ATPase標品に含まれていることが確認された。また、HK-ATPaseのN末端領域のチロシン^<10>及びチロシン^7をリン酸化する酵素については、融合蛋白質を使った基質特異性の検討及び特異的な抗体を用いたイムノブロットによって、ある種のc-Src様キナーゼであることが示唆された。
|
-
[Publications] Togawa,K: "Phosphorylation of Tyr^7,Tyr^<10>,and Ser^<27> of α-Chain in H+,K+-ATPase by Intrinsic and Extrinsic Linases." Ann,N.Y.Acad.Sci.834. 582-584 (1997)