1997 Fiscal Year Annual Research Report
2種類の基質用結合部位を持つ好熱菌酵素の蛋白質工学的研究
Project/Area Number |
09680619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉光 成紀 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60153368)
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Keywords | 蛋白質工学 / 酸性基質 / 転移酵素 / 変異型酵素 / カルボキシル基 / 基質結合部位 / X線結晶解析 / 疎水性基質 |
Research Abstract |
一般に酵素は「1酵素1基質」であると信じられてきたが、高度好熱菌 Thermus thermophilus HB8アミノ基転移酵素は,酸性基質および疎水性基質の全く性質の異なる2種類の基質に対して活性を示す「1酵素2基質」の特異な酵素であることがわかった。しかも,酸性基質に対す基質特異性は非常に高いが,疎水性基質に対しては非常に基質特異性が低く,基質の表面積に比例した親和性を示した。この基質認識機構を理解するために,蛋白質工学的方法で活性部位に存在するアミノ酸残基を置換して,基質との反応過程を解析するとともに,1.8A分解能におけるX線結晶解析を行った。酸性基質の認識に関しては,これまでの研究から「酵素が基質の-COO^-を認識する場合には,Arg残基が必須でありLysでは代用できない」と考えられてきた。しかし,T.thermophilsuアスパラギン酸アミノ基転移酵素(T.th.AspAT)のX線結晶解析の結果,意外にも,Lys109が基質側鎖の-COO^-の認識を行っていることが明らかになった。また,疎水性基質の認識に関しては,意外なことに,T.th.AspATのLys109をSerへ置換すると,基質の側鎖に-COO^-を持つ酸性基質に対するは減少したが,中性基質,中でもトリプトファンに対する活性は野生型酵素より約1万倍も上昇した。その理由は,野生型酵素で酸性基質を認識するLys109は疎水性基質の結合にとって大きな障害になっているか,あるいは,Lys109が存在することにより,疎水性基質の結合に適した構造変化ができない,のいずれかであることが示唆された。
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[Publications] Kawaguchi,S.: "Enzyme Flexibility : New Concept in Recognition of Hydrophobic Substrates" J.Biochem.55. 55-63 (1997)
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[Publications] Putukhov,M.: "Insights into Thermal Resistance of Proteins from Intrinsic Stability of Their α-Helices" Proteins : Structure,Function,and Genetics. 29. 309-320 (1997)
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[Publications] Kawaguchi,S.: "New Concept of the Enzymatic Recognition of Hydrophobic Substrates" Protein Science. 6. 66-66 (1997)
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[Publications] Nakai,T.: "Structural Study of Extremely Thermophilic Bacterium Aminotransferase" Protein Science. 6. 94-94 (1997)
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[Publications] 倉光成紀: "「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト -基本的生命現象の系統的解析-」へ向けてのボランティア" 生産と技術. (印刷中). (1997)
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[Publications] 倉光成紀: "アミノ基転移酵素" 朝倉書店,東京, 11 (1997)