1998 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型プロスタグランジンE合成酵素の諸性質とその生理的役割の解明
Project/Area Number |
09680637
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
渡部 紀久子 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (90211672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 人志 大阪医科大学, 精神神経科, 講師 (50173886)
伊藤 誠二 関西医科大学, 医化学教室, 教授 (80201325)
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 名誉所長 (40025507)
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Keywords | プロスタグランジン / 酵素 / 精製 / 膜結合 / グルタチオン |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)Eは生体内に広く存在し、胃酸分泌抑制、気管支拡張、免疫抑制、発熱など様々な生理活性を惹起する生理活性物質であり、重要な生理的役割を果たしていると思われる。最近、PGEの受容体の単離、その性質も詳細にわかり、生理活性との関係も研究されている一方で、膜画分に存在するPGE合成酵素は、その不安定さにより精製が困難であるため酵素的性質を始めとする遺伝子レベルでの研究は未だなされていない。私達はふたつのタイプの膜結合型PGE合成酵素を見いだし、その酵素を高度に精製し、酵素的性質を調べると共にその一次構造も明らかにしつつある。 二つの膜結合型PGE合成酵素-GSH要求性と非要求性-のうち、GSH非要求性PGE合成酵素は従来部分精製されていたGSH要求性の酵素とは異なり新しいタイプの酵素である。私たちは本酵素をほぼ均一にまで精製した。膜結合型PGE合成酵素の精製はこれまで報告がなかったこと、また本酵素の抗体を作成し、本酵素の臓器分布、細胞内分布を明らかにすることが可能になったことは、この分野での新しいページを開くことになり、生体内に広く存在するPGEの重要な生理的役割をさらに明らかに出来るものと期待される。PGEと共にPGFは古くに発見され様々な生理活性が報告されている。私達はPGFを合成するPGF合成酵素も長年研究してきており、これら二つのPGは同じ臓器に存在することも多いことから、PGFとPGEとの生理活性の関連をも明らかにする。
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[Publications] T.Suzuki, et.al.& K.Watanabe: "cDNA cloning, expression and mutagenesis study of liver-type prostaglandin F synthase" J.Biol.Chem. 274. 241-248 (1999)
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[Publications] T.Suzuki, ..., K.Watanabe & O Hayaishi: "Induction of hematopoietic prostaglandin D synthase in human megakaryocytic cells by phorbol ester" Biochem.Biophys.Res.Commun.241. 288-293 (1997)
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[Publications] K.Watanabe, et.al.: "Two types of microsomal prostaglandin E synthase : glutathione-dependent and -independent prostaglandin E synthases" Biochem.Biophys.Res.Commun.235. 148-152 (1997)