1999 Fiscal Year Annual Research Report
種間ハイブリッドを用いたシトクロムcの分子進化と立体構造安定性の研究
Project/Area Number |
09680655
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
西郷 敏 自治医科大学, 医学部, 助教授 (70049071)
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Keywords | シトクロムc / 構造安定性 / 分子進化 / 種間ハイブリッド / キメラ分子 |
Research Abstract |
1.ウマ心筋のシトクロムc(Cytc)を臭化シアンと反応させることにより、Met-65の位置でタンパク質を切断し、ペプチド断片1-65(P1)を逆相クロマトフィー法により、精製、分取した。ペプチド合成法で調製したウマCytcの66-104のペプチド(P2)とP1を、嫌気的条件下で反応させ、P1-P2間のペプチド結合が再生した半合成ウマCytcを調製した。 2.グアニジン塩酸塩による半合成ウマCytcの変性曲線を、トリプトファン残基の蛍光強度をモニターして測定した。この変性曲線は、天然のウマCytcのものによく一致しており、立体構造の安定化の自由エネルギーも両者で等しいことが示された。このことは、半合成法で、種々のアミノ酸配列を持つCytcを調製し、その立体構造とアミノ酸配列の関係を調べるという本研究の実験手法の有効性を示すものである。 3.現在、半合成法により異なるアミノ酸配列を持つCytcを大量調製し、その物理化学的な性質を測定するための準備を進めている。さらに、異なる生物種のペプチド断片P1、P2を連結した種間ハイブリッドCytcを調製し、この安定性を親分子と比較する。これにより、立体構造を保持するということで制約の中で進んできた分子進化の過程で、アミノ酸置換がどのような関係を持ちながら起こったかを調べてゆきたい。
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