1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680662
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
秋葉 俊彦 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (80291889)
|
Keywords | PhoB蛋白質 / 転写活性化因子 / X線結晶構造解析 / 結晶化 / DNA結合蛋白質 / リン酸化 / 転写制御 / 二成分制御系 |
Research Abstract |
PhoB蛋白質全体の結晶化を目的として,蛋白質の大量発現および精製法の検討を継続して行いつつ,結晶化条件の探索を行った. 大量発現法の検討: 現在使用している発現系ではIPTG誘導による大量発現の失敗例が多かったため,前年度はむしろ蛋白質をリーキーに発現している細胞を選んで用いることで問題を回避していた.今年度はこれとは別に前培養の方法を検討することで発現の改良を試みた.その結果,よりstringentな抗生物質の使用および固体培地上での前培養法が有効であることが分かった. 精製法の検討: 前年度開発した精製法は,(1)プロタミン硫酸による核酸除去,(2)ヘパリンカラムでの塩濃度勾配による溶出,(3)陽イオン交換カラムでのpH勾配による溶出,(4)ゲル濾過,の4段階からなるが,精製を重ねるうち,意外にもヘパリンカラムが核酸に汚染されて結合能が変化する結果,最終標品に高分子量の夾雑物が目立つようになった.そこで,(1)の沈殿条件を詳しく調べるとともに,(2)のヘパリンカラムの前に陰イオン交換カラムによる分画を行って核酸除去を徹底した結果,純度の再現性が回復され,さらに時間のかかる最後のゲル濾過を省略できるようになった. 結晶化条件の探索: 今年度は主にsittingdrop法により条件の探索を行った.市販の96-wellタイプの容器を用いることで,微量透析法の場合の1/5程度の蛋白溶液量で検索できるようにした.PEG,リン酸,もしくは硫安を沈殿剤としたグリッドスクリーニングと,ランダムマトリクススクリーニングとを試みたが,顕著な結果は得られていない.しかし,温度4℃,硫安2.4〜-2.8M,pH5.5〜-8.0の条件下で再現性よく粒状の沈殿を生ずることが分かった.アセチルリン酸による蛋白質のリン酸化や二価イオンの効果についても調べたが,さらなる改善を見るに至っていない.
|