1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化におけるDNA複製と特異形質発現の統御機構
Project/Area Number |
09680666
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
堤 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (40113964)
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Keywords | DNA複製 / 複製開始領域 / 遺伝子発現 / プロモーター / 細胞周期 / ラット |
Research Abstract |
ラットアルドラーゼB(AldB)遺伝子のプロモーター領域は肝細胞特異的な転写の制御領域としてだけでなく、この遺伝子が不活化している肝ガン細胞では複製開始領域としての機能も持つ。細胞分化におけるこの制御遺伝子領域の機能の変換の意味を探るために、昨年度は複製開始に必要な制御DNAエレメントの同定とその機能の解析を行ない、複製開始に必要なDNAエレメントと転写制御に必要なエレメントはオーバーラップしていること、複製開始に必要なDNAエレメントにはタンパク質因子が細胞周期依存的に結合すること等を明らかにした。 今年度は、上記の複製開始に必要なDNAエレメントに作用する因子や核内構造体について主として解析し、次の成果を得た。(1)AldB遺伝子を転写している細胞では複製開始が他の領域から起こることか判明し、複製開始の制御系が何らかのかたちでAldB遺伝子の転写制御系と連絡していることが示唆された。 (2)本遺伝子を転写している細胞と転写していない細胞では核マトリックスに結合する領域が異なることを明らかにした。AldB遺伝子プロモーター領域から複製が開始される細胞では、この領域が核マトリックスと結合していることが判明した。この結果は、核マトリックスとの結合が転写制御や複製単位を包括するクロマチン機能ドメインの構築に関与する可能性を示唆した。また、上に述べた複製開始に必要なDNAエレメントの1つに結合する因子の精製を行い、それが複数のサブユニットから構成されていることが判明した。現在さらに精製中である。
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