1998 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエレチノイド結合蛋白質の探索と機能解析
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09680689
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 えみ子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20173891)
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Keywords | Drosophila / ショウジョウバエ / レチノイド / 視覚 / 複眼 / 突然変異 / 光受容 |
Research Abstract |
本研究は分子生物学的手法による研究の好材料であるショウジョウバエを用いて、光受容細胞における視物質の代謝に中心的な役割を果たしている、レチノイド結合蛋白質を無脊椎動物にまいて同定し、その機能を解析することによって、無脊椎動物の光受容および光情報変換の機構を解明しようとするものである。昨年にひきつづき、本年度も脊椎動物で知られている、レチノイド結合蛋白質の遺伝子DNAをもとに、ショウジョウバエ頭部よりのレチノイド結合蛋白質の探索を行ったが、今のところ発見されていない。これは、これらの蛋白質が3次元的な構造は似ているにも関わらず、特定の活性中心のようなところが遺伝子レベルでは進化的にあまり保存されていないことを示唆しており、分子進化の機構を考える上で、新しい視点を与えるものと考えられる。しかし、これらの結果から、DNAの類似性を元にしたレチノイド結合蛋白質の発見は可能性が低いことが解り、別の方法を考えなくてはならなくなった。そこで、遺伝子からの探索は中止し、大型のハエを用いて、レチノイドと結合する蛋白質の精製に着手した。また、これと平行して、視細胞における光情報変換関連蛋白質の機能を解析する手段として、これらの蛋白質の変異分子を発現する系統をいくつか作製し、その表現系をin vivoで解析した。これらのうち、イノシトール燐脂質代謝に関連する、ホスファチジルイノシトール転移蛋白質(PITP)については,マウスのPITPがショウジョウバエの視細胞中でショウジョウバエのPITPと同様の働きをすることが解り、この蛋白質が進化的によく保存されていることが明かとなった。
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[Publications] Hoshino,M.: "Neural expression of hikaru genki protein during embryonic and larval development of Drosophila melanogaster" Dev.Genes Evol.(in press).
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[Publications] Eguchi E.: "Atlas of Arthropod Sensory Receptors" Springer, 220 (1999)