1997 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムシグナルの発生と伝達に関する分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
09680690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
飯田 秀利 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70124435)
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Keywords | カルシウムチャネル / カルシウムイオン / シグナル伝達 / イオンチャネル / 出芽酵母 / Saccharomyces cerevisiae / フェロモン / 分子細胞生物学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、出芽酵母の性フェロモンによるカルシウムシグナルの発生と受容伝達の分子機構を明らかにすることである。前年度までに、Ca^<2+>の流入に欠損を持つmid1変異株とMID1遺伝子の分子生物学的研究および電気生理学的研究を行った。本年度はMID1遺伝子産物(Mid1)についてさらに電気生理学的研究を推進した。まず、Mid1をチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)に発現させ、その細胞に水圧による機械的刺激を与えた。その結果、Mid1を発現しているCHO細胞はCa^<2+>を透過させることを発見した。このことはMid1が機械刺激受容チャネルとしてはたらくことを示唆する。この示唆が確かであるか否かを確かめるために、機械刺激受容チャネルの阻害剤として知られるガドリニウムイオン(Gd^<2+>)を、Mid1を発現しているCHO細胞に加え、水圧による機械刺激をその細胞に与えた。その結果、Gd^<2+>はMid1のチャネルとしての機能を阻害した。したがって、Mid1は真核生物では遺伝子レベルで未だ同定されていない機械刺激受容チャネルと考えられる(論文投稿準備中)。この発見の意義はきわめて大きい。 また、動物においてストレス応答などに関与し、植物においては障害に対する防衛に関与するサリチル酸を酵母に与えると酵母細胞内の遊離Ca^<2+>濃度を上昇させることを発見した。
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Research Products
(1 results)