1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドラ細胞外マトリックスの欠失、再合成が細胞構造、細胞活動に影響する機構の探求
Project/Area Number |
09680708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
清水 裕 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (60178986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美濃部 純子 福岡女子大学, 人間環境学部, 助手 (80190718)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 形態形成 / 細胞増殖 / ヒドラ / ラミニン / 基底膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒドラ細胞外マトリックス(メソグリア)が細胞増殖、細胞分化、形態形成、その他の諸現象に果たす役割を調べることである。生体系を用いてこれらのことが調べられるという点で、ヒドラは非常に有用な実験動物だと考えられる。しかし、ヒドラメソグリアの動態、生成機構などはまだほとんどわかっていない。そこで本年度は、まず研究代表者が、メソグリアの完全な欠失が上皮細胞の増殖に及ぼす影響を詳細に調べた。この問題に対して、海外の研究協力者からはマトリックスの欠失が細胞増殖を顕著に低下させることを示唆する結果が報告されている。しかし、これらの実験はすべてヒドラ頭部を切断した傷口という特殊な環境で行われていた。本研究では、マトリックスを欠失させるが個体への構造的影響を最小限にするやりかたでメソグリア欠失の影響を調べた。その結果、興味深いことに、細胞増殖頻度には大きな変化は認められなかった。これまで、培養細胞を用いた結果から正常な上皮細胞の増殖能は、基底膜への接着に大きく依存すると考えられてきたが、生体系を用いた本研究の結果は、この仮説とは大きく異なる。その理由がなぜかは非常に興味深く、今後解明すべき課題である。 ヒドラは散在神経系を持っている。その形成、維持に細胞外マトリックスが密接に関わる可能性が考えられている。本年度は研究分担者が、細胞外マトリックスの合成阻害が神経回路網形成に及ぼす影響を詳細に調べた。その結果、明確な影響は認められなかった。そこで、次にマトリックスの完全な欠失が神経網形成に及ぼす影響を調べる実験を継続して行っている。
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