1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680718
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大椙 弘順 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00201377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 宏治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261550)
山本 博章 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40174809)
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Keywords | 発生生物学 / 形態形成 / 細胞周期 / 細胞増殖 / 四肢 |
Research Abstract |
動物の発生過程では細胞増殖と形態形成のバランスが重要である。本研究者らは、「細胞周期の長さが形態形成因子の発現を制御できるのでは」という仮説のもとに、発生中の肢芽に局所的にAphidicolinを投与し細胞周期進行を一時的に遅らせた結果、肢芽前方域に与えた時、過剰な指の誘導と、本来後方域で発現する遺伝子の前方での発現誘導を見い出していた。本年度はその現象が細胞死によりもたらされるのでは無いことを明らかにし、さらに、正常肢発生過程における領域による細胞周期進行の違いの有無を調べる為に、各発生段階の肢芽でのBrdUの取込みを、連続切片で核との二重染色により詳細に解析した。その結果発生初期の肢芽には、肢芽周辺領域の中胚葉の後部域に他と比較して細胞周期進行が遅い領域があることが明らかとなった。これは、各領域の総細胞数あたりのBrdU取り込み細胞数を計測することでさらに明確にできた。次に、この細胞周期進行が遅い領域と肢芽部で発現するShhやBMP-2遺伝子の発現域との関係を明確にする為、BrdUの取り込みとそれら遺伝子発現域を二重染色で比較した。その結果、それらの発現領域は、細胞周期の進行が遅い領域をその基部側に含むことが明らかになった。また、CDK Inhibitor遺伝子(p15,p16,マウス由来)をレトロウィルスベクター(RCASBP)に組み込みウィルスを作製し、鶏胚に感染させた結果、それら遺伝子の異所的発現が強く認められた。しかし細胞周期の進行には影響が無く、Shh,BMP-2発現も正常であった。この原因としては、ウィルス作製過程で宿主細胞の増殖が必要な為、それを有意に抑制する効果を持つウィルスは形成されにくい可能性も考えられるので、今後はエレクトロポレーションによる細胞周期抑制遺伝子の導入を行い、その効果を検討する。また、鶏の細胞周期抑制遺伝子についても単離を進行中である。
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