1998 Fiscal Year Annual Research Report
性モザイクマウスを用いた肝臓発生過程における細胞増殖・分化パターンの解析
Project/Area Number |
09680722
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 助教授 (70162568)
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Keywords | モザイクマウス / オルニチントランスカルバミラーゼ / 肝臓 / 細胞系譜 / 胆管分化 |
Research Abstract |
spf-ashヘテロ型雌肝臓におけるオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)発現のモザイクパターンを、前年度に引き続き免疫組織化学的に解析した。本年度は特に胎児肝臓(妊娠15.5日目と17.5日目胎児)におけるOTC陽性パッチの3次元的な接続性と形状を解析した。 マウス胎児期肝臓は造血器官であるため、肝芽細胞以外に非常に多くの造血細胞が移入してきており、spf-ash型へテロ型胎児肝臓においては、相対的にOTC陽性の肝芽細胞の割合が低くなり(肝実質部におけるOTC陽性肝芽細胞の占める割合は、10から15%)、非常に小さいパッチを形成した。そのために、3次元的にもOTC陽性バッチ同士が結合する確率が低くなり、孤立した3次元的パッチをしばしば観察することができた。孤立した3次元的パッチを構成する細胞群は約10〜70細胞であったが、この数字は肝臓原基を出発点とする肝芽細胞の増殖を考えると理論的に合致する値でもある。またこの孤立パッチの中に含まれる胆管細胞と成熟肝細胞前駆体を解析したところ、胆管細胞前駆体だけからなるもの、成熟肝細胞前駆体だけからなるもの、両方の前駆体をふくむものの3タイプが観察された。この結果は、細胞系譜の上で、胆管細胞だけになる肝芽細胞、成熟肝細胞だけになる肝芽細胞、両方になる肝芽細胞が存在することを示唆している。しかし、胆管分化がおこる門脈周辺と、それ以外の領域におけるモザイクパターンを比較したところ、差はなく、肝芽細胞自身はこれらの分化に関して等価であり、肝芽細胞をとりまく環境がその分化に重要であると考えた。 次年度はインサイチュハイブリダイゼーション法を用い、モザイク像の解析をさらに初期にさかのぼれるか、検討する。
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