1999 Fiscal Year Annual Research Report
性モザイクマウスを用いた肝臓発生過程における細胞増殖・分化パターンの解析
Project/Area Number |
09680722
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 助教授 (70162568)
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Keywords | モザイクマウス / オルニチントランスカルバミラーゼ / 肝臓 / 細胞系譜 / 胆管分化 |
Research Abstract |
spf-ashヘテロ型雌マウス肝臓と小腸におけるオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)発現のモザイクパターンを、前年度に引き続き免疫組織化学的に解析した。本年度は特に胎児肝臓(妊娠13.5日目)におけるOTC陽性パッチと、小腸の発生過程におけるOTCモザイクパターンを解析した。 肝臓におけるモザイク解析がどこまでさかのぼれるか、妊娠13.5日目野生型肝臓におけるOTC発現を調べたところ、この時期には全ての肝細胞がOTCを発現するわけでなかった。したがって、spf-ashヘテロ型肝臓におけるモザイク解析は妊娠14.5日目以降可能であることがわかった。 小腸発生過程で、OTCモザイクパターンを解析したところ、単クローン性の成体型陰窩は、生後2週頃成立し、それより以前はOTC陽性と陰性の細胞からなる混合型の陰窩が観察された。この結果は、陰窩の初期形態形成と幹細胞域の成立がカップルしていないことを示しており、個々の陰窩成熟過程で、幹細胞のタネになる細胞1個がどうやって決定されるか、大変興味深い。また肝臓の場合と同様、胎児小腸においても、パッチサイズが非常に小さく、細胞の移動や混合が非常に顕著であることが推察できる。 3年間の研究により、マウス肝臓の発生過程ならびに小腸の発生過程における細胞系譜を、モザイクマウスを用いて明らかにすることができ、その成果を報告書にまとめた。
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