1998 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼ活性をもった出芽ホヤ細胞増殖因子の構造と機能
Project/Area Number |
09680727
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
川村 和夫 高知大学, 理学部, 助教授 (30136361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
指吸 俊次 高知大学, 理学部, 教授 (00019564)
|
Keywords | ホヤ / 出芽 / セリンプロテアーゼ / kringle / モザイクタンパク質 / 細胞増殖 / 脱分化 / リコンビナントタンパク質 |
Research Abstract |
出芽ホヤ(ミサキマメイタボヤ)はビタミンA誘導体(レチノイン酸、RA)を与えるだけで体全体を再構築する驚異的な再生システムをもっている。RAは間充織細胞に取り込まれると、アミノペプチダーゼやセリンペプチダーゼの放出を誘起する。本年度は後者について研究を進め、differential display法により、RA処理した間充織細胞から約2.8kbのcDNAを得た。予想される869アミノ酸のうち、C末端側はセリンプロテアーゼの触媒ドメインと相同で、活性中心のHis、Asp、Serは完全に保存されていた。N末端側はLDL受容体やscavenger受容体に共通したkringle様トリプルループ構造を含んでおり、タンパク質間相互作用に関与することが示唆された。この複数の機能ドメインをもつレチノイン酸誘導性タンパク質をTRAMP(Tunicate Retinoic Acid-induced Modular Protease)と命名した。モザイクタンパク質はplasminogen activatorやショウジョウバエのnudelで知られており、発癌メカニズムや動物の発生(体軸決定)に重要な役割を果たしている。TRANPのセリンプロテアーゼ触媒領域をGSTにつないで、リコンビナントタンパク質(TRAMP5)を調製した。MCA蛍光人工基質を用いた測定法で、この融合タンパク質はトリプシンとトロンビンの活性をもつことが判明した。TRAMP5をホヤ培養細胞に投与したところ、20-100μg/mlの範囲で、濃度依存的に細胞増殖を促進した。細胞は脱分化の形態をとった。plasminogen activatorが細胞増殖活性をもつことはすでに知られているが、この機能はセリンプロテアーゼ触媒領域ではなく、kringleモチーフを含むタンパク質相互作用領域にあるとされている。われわれの今回の結果はプロテアーゼ触媒領域に細胞増殖活性があるという点で既知の結果と異なっており、新規の増殖シグナル受容機構を示唆している。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kawamura,K.,et al.: "Serine protease inhibitors expressed in the process of budding of tunicates as revealed by EST analysis." Journal of Biochemistry. 124. 111-119 (1998)
-
[Publications] HISATA,K.,et al.: "Expression and function of a retinoic acid receptor in budding ascidians." Development,Genes and Evolution. 208(10). 537-546 (1998)
-
[Publications] KAWAMURA,K.et al.: "Cell adhesion in the process of asexual reproduction of tunicates." Microscopy and Research Technique. 40. 1-10 (1999)
-
[Publications] Kawamura,K.,et al.: "A new family of growth factors produced by fat body and active on Drosophila imaginal disc cells." Development. 126(2). 211-219 (1999)
-
[Publications] 川村和夫・藤原滋樹: "ホヤの生物学 第13章 「芽体形成のメカニズム」" 東京大学出版会, 258 (1998)