1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680729
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 雅夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40162268)
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Keywords | アフリカツメガエル / 中胚葉誘導 / D1細胞 / 移植 / 外植 / 遺伝子発現 / siamois |
Research Abstract |
ゼノパス32細胞期胚の背側の植物極側に位置するD1細胞については、「中胚葉誘導仮説」の中で、重要な役割を与えられてきた。この細胞は、腹側植物極に移植されたときに、二次軸を作るのだが、その細胞の子孫自体は脊索、体節、神経などの背側中軸器官と言われるものに分化しない。 これまで私達は、32細胞期にD1細胞を染色してD4位置(腹側の植物極領域)に移植し、その後に移植細胞の上部に隣接する細胞群(A3,A4,B3,B4,C3,C4の子孫)を256細胞期に外植することによって32細胞期から256細胞期の間に誘導シグナルが伝わっているか検討してきた。その結果は、まったくネガティブなものであり、中胚葉誘導仮説を支持しなかった。今回、新たに次のような実験結果が得られた。1)D1細胞を上下反転してD4位置に移植した。原腸陥入は非常にしばしば移植胚の植物極近くの移植D1由来領域で起こった。このことはD1細胞が自ら原腸陥入を開始する細胞に分化すること、この分化がD1細胞の中でも上の方に局在する何らかの細胞質因子に依拠しているもんであることを示唆している。また、このような胚では二次軸の形成率が著しく低下した。このことはD1細胞の二次軸形成能が上部に局在していることを示唆している。2)D1細胞をD4位置に移植後、初期原腸胚期に、siamoisの発現を調べたところ、移植されたD1細胞がsiamoisを発現していた。このことは、D1細胞が自律的にオ-ガナイザーに分化していることを示唆している。3)D1細胞移植後その上部の細胞群を切り出す時期を初期原腸胚期に変更したところ、切り出されたもんとの腹側細胞群は伸長し、背側軸構造を作った。このことは誘導シグナルは原腸胚期までにはつたわっている(256細胞期ではまだ伝わっていない)ことを示している。
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