1997 Fiscal Year Annual Research Report
分化した色素上皮細胞が多分化能を維持できる分子構造の研究
Project/Area Number |
09680733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
餅井 真 岡崎国立共同研究機構, 基礎成物学研究所, 助手 (90202358)
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Keywords | 色素上皮細胞 / 分化転換 / Mitf / FGF / EGF |
Research Abstract |
色素上皮細胞は分化形質を発現しつつ別の細胞へと分化転換する能力を維持する。本研究では、Mitf遺伝子の発現制御と、その作用機構に着目して解析し、本年度では、以下の結果が得られた。 1)色素上皮の一部が自律的に神経網膜組織に分化転換するウズラ変異体silverで、Mitf遺伝子に変異が生じており、その産物は色素細胞特異的プロモーターを活性化する能力が正常なものより低かった。 2)silverと正常個体由来の色素上皮細胞を培養したところ、正常色素上皮はニワトリ同様、レンズや神経細胞への分化転換にFGFやEGFを必要とするのに対し、silver色素上皮細胞はこれら増殖因子なしに分化転換した。 3)レトロウイルスベクターを用いて正常Mitfを色素上皮細胞で過剰発現させたところ、分化転換が著しく阻害された。 4)FGFはレンズ細胞と神経細胞両方への分化転換を誘導することができるが、EGFもほぼ同じ活性を持つことがわかった。 5)FGFやEGFによる分化転換の誘導およびMitfの発現抑制は、MAPKシグナル伝達系を抑制することにより阻害された。 以上の結果から、実際Mitfが色素上皮細胞の分化転換を抑制する方向に機能し、その機能低下が分化転換を誘導することが明らかとなった。また、Mitfの発現はMAPKシグナルを介し、FGFやEGFにより制御されることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Makoto Mochii: "Role of Mitf in Differentiation and Trans difilerentiation of dicken pigmented epithelial cell" Developmental Biology. 193. 47-62 (1998)
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[Publications] Makoto Mochii: "Spontaneous transdifferentiationof quail pigmented epithelial cell is accompanied by a mutation in the Mitf gene" Developmental Biology. (未定). (1998)