1998 Fiscal Year Annual Research Report
分化した色素上皮細胞が多分化能を維持できる分子機構の研究
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09680733
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Research Institution | OKAZAKI NATIONAL RESEARCH INSTITUTES |
Principal Investigator |
餅井 真 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90202358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小阪 美津子 科学技術振興事業団, さきがけ21, 専任研究員
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Keywords | 色素上皮細胞 / 分化転換 / Mitf / pax6 |
Research Abstract |
脊椎動物の色素上皮細胞は分化形質を発現しつつ別の細胞へと分化転換する能力を雑持する。本研究では、Mitf遺伝子の発現制御と、その作用機構に着目して分化転換能力の本質にせまることを目的とし、本年度では、以下の結果が得られた。 1, 色素上皮細胞の分化転換過程でMitf遺伝子が抑制される。反対に分化が安定に維持されるときはMitfの発現が維持されることをすでに明らかにした。pax6はMitfと相補的な発現を示し、Mitfを強制発現させるとpax6の発現が抑制される。逆にpax6を強制発現させることにより、Mitfの発現の抑制、あるいは分化転換が誘導される可能性を検討した。その結果、pax6を強く発現する細胞においてもMitfを強く発現できることがわかった。しかし、pax6によりレンズ細胞への分化転換が一部促進されたことからpax6も色素上皮細胞の分化転換の制御に密接に関わることが示唆された。 2, FGFやEGFにより色素上皮細胞からの分化転換が誘導されることを明らかにしてきたが、反対に分化形質を安定に維持するよう働く増殖因子の検索を行った。その結果、TGF-βとBMP-2/4は色素上皮細胞の脱分化を誘導するが分化転換は誘導できないこと、activinは未分化な色素上皮細胞からの分化に対して部分的に促進作用を持つことがわかった。
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