1997 Fiscal Year Annual Research Report
家族性筋萎縮性側索硬化症におけるアストロサイト内封入体形成の解明
Project/Area Number |
09680744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 講師 (60194817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浜 栄作 鳥取大学, 医学部, 教授 (50018892)
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Keywords | 家族性筋萎縮性側索硬化症 / アストロサイト内硝子様封入体 / Superoxide dismutase 1 / Granule-coated fibril / レビー小体様封入体 |
Research Abstract |
1.新知見としての病理学的所見 家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)はSuperoxide dismutasel(SOD1)遺伝子異常が病因と考えられる運動ニューロン系の疾患である。その病理的特徴は、運動ニューロン内レビー小体様封入体(Lewy-body-like hyaline inclusion、LBHI)の存在である(Hirano et al.1967)今回、我々は4家系8症例のFALSを詳細に解析し、異なる2家系の長期生存2例で次の新知見を明らかにした。1)LBHIが運動系以外のニューロンにも多数出現していた。2)今までに報告されていないアストロサイト内硝子様封入体(Ast-HI)が出現していた。 2.遺伝子解析 SODl遺伝子の解析として、パラフィン包埋組織を用いたsingle strand comformation polymorphism-polymerase chain reactionを行ったところ、長期生存2例のうち1例は2塩基欠損型のSODI遺伝子異常を認めた。 3.新知見の病理学的解明 組織学的、免疫組織化学的、電顕的及び免疫電顕的手法を用いて病理学的解明を行った。運動系以外の神経細胞内に出現していたLBHIは運動系のものと全く同一であった。また、Ast-HIは免疫組織化学的にはアストロサイト系のマーカーを有し、LBHlはニューロン系のマーカーを有していたが、超微形態的には両者ともguanule-coated fibrilで構成されていた。免疫電顕的解析により、Ast-HIとLBHIのgranule-coated fibrilにはどちらもSODIが高度に集積していた。即ち、長期生存例のFALSでは、SODI遺伝子異常に基づく障害メカニズムがニューロンのみならずアストロサイトにも波及していくことが神経病理学的に解明できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinsuke Kato: "Pathological characterization of astrocytic hyaline inclusions in familial amyotrophic sclerosis" American Journal of Pathology. 151.2. 611-620 (1997)
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[Publications] 加藤信介: "家族性筋萎縮性側索硬化症" 病理と臨床. 15巻臨時. 203- (1997)
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[Publications] 加藤信介: "多系統萎縮症におけるオリゴデンドログリアの変化" 神経内科. 46巻6号. 584-594 (1997)