1998 Fiscal Year Annual Research Report
成長円錐小飽に結合するSNARE複合体の新規制御蛋白の構造・機能解析
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09680758
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
五十嵐 道弘 群馬大学, 医学部, 助手 (50193173)
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Keywords | 成長円錐 / シナプス終末 / 開口分泌 / テトロトキシン / SNARE機構 / Rab3A サイクリング |
Research Abstract |
成長円錐は成長期の神経突起の先端の運動性に富んだ構造であり、シナプス前終末の前駆構造と考えられる。成長円錐における開口分泌の過程でSNARE機構とならんで、rab3A cyclingという機構があり、両者の相互作用は明らかでない。成長円錐で両者の関連性を明らかにする目的で研究を行った。強制的に開口分泌を惹起するα-Latrotoxin(LTX)は成長円錐でもCa^<2+>非依存性に伝達物質放出を惹起した。この応答はボツリヌス毒素に感受性で、SNARE機構の関与を介すると考えられた。受容体量は、結合実験でもブロッティングでもシナプス膜と成長円錐膜では差がなかった。しかし、成長円錐ではLTXに対する感受性は1/10程度であった。成長円錐小胞でLTXに対するrab3A結合性GTP/GDP変換がほとんどGDP型で変換が起こりがたいことが分かった。 この結果は、開口分泌におけるrab3Aグアニンヌクレオチドのサイクリングがシナプスに比べて低いことを示唆する。これらの成長円錐における分布を調べたところ、成長円錐ではrabphilinがシナプスに比べて共に極めて低いことが分かった。Rabphilin,Mss4を成長円錐に導入すると、LTX依存性の伝達物質放出に関する成長円錐のLTX感受性が上昇して、GTP型への変換も上昇した。成長円錐のrab3A cylingは不完全で、シナプスに比較すると、rabphilin,rab3 GEP IIという2つの重要な成分の不足がその原因と考えられる。従って、これらの因子はシナプス形成の途中の過程で備わるものと考えられる。またこれらの因子を補充した際に、開口分泌の効率が増大したことから、これらの因子は成熟シナプスにおいて、開口分泌の基本的な機構であるSNARE機構を補助して、効率的な分泌を促進する役割を果たす調節的因子と考えられる。
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[Publications] Ohbayashi K et al.: "L-tipe Ca^<2+> Sfimulation in grouth cones activates two independent Cignaling pathways." Journal of Neuroxience Research. 5/(6). 682-696 (1998)
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[Publications] 五十嵐道弘: "成長円錐からシナプス終末への変化過程の分子機構" 蛋白質 核酸 酵素. 44(印刷中). (1999)