1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経ペプチド(HCNP)受容体の同定と単離および構造解析
Project/Area Number |
09680769
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小鹿 幸生 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20177223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 学 名古屋市立大学, 医学部, 研究員
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Keywords | 神経ペプチド / HCNP / 海馬由来神経刺激因子 / 受容体 / コリン作動性神経 / Kd / 活性中心 |
Research Abstract |
昨年の研究で、前脳基底野コリン作動性神経の分化を促進する新規神経ペプチド(HCNP,hippocampal cholinergic neurostimulating peptide)の受容体(HCNP受容体)を同定するRadiolabeled receptor assay(RRA)法を確立し、受容体は脳組織のP2画分に含まれることを報告した。今回この受容体の性質とその精製における問題点について検討した。 (方法)4〜8週齢のラット大脳を10倍容の氷冷0.32Mショ糖溶液中でホモジナイズ後、遠沈法でP2(mitochondria-synaptosome)画分を分取した。分取した画分を凍結(-80℃)・融解し、次いで20倍容のRRA溶液(50mM Tris-acetate,pH7.4)で4回洗浄して内因性のペプチドを除去し細胞下分画標本とした。標識リガンドの作成法及びRRA法は昨年報告した方法に準じた。各種のペプチドはBoc法によりペプチド合成器を用い合成した。 (結果及び考察)200μg/assayのP2画分標本を用い、^<125>I-HCNPの結合能の解析を行った。^<12>I-HCNPの特異的結合は濃度依存性に増加し50nM近傍で飽和を示した。この結果をScatchard plotで解析すると、HCNP受容体は単数個から成り、Bmaxは9.4nM/mg、Kdは3.53×10^<-11>Mであった。また、HCNPの受容体への結合部位を明らかにするために、HCNPのN末端近傍、C末端近傍、及びその中間部位の配列を有するペプチドを合成し、何れが^<125>I-HCNPの結合をreplaceするかを検討したところ、C末端近傍のアミノ酸配列を有するHCNP_<5-11>のみがHCNPと同様のreplace作用を示した。これらの結果からHCNP受容体は高親和性であり、培養系を用い検討したこれまでの結果と同様にHCNPの活性部位はC末端近傍に存在することが証明された。しかし、このRRA法を用いて受容体の精製を実施するには非特異的結合を少なくし、更に測定に用いる標本の蛋白量を少なくした測定系が必要と考えられた。
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