1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内物質6-ニトロノルエピネフリンに関する研究
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09680771
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中木 敏夫 帝京大学, 医学部, 助教授 (30164148)
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Keywords | 6-ニトロノルエピネフリン / 一酸化窒素 / ノルエピネフリン / 血管収縮 / 過酸化水素 / カタラーゼ / スーパーオキシド |
Research Abstract |
前年度に引き続きブタ脳に同定された6-ニトロノルエピネフリン(6-NNE)による,ラット大動脈の収縮に及ぼす影響について検討した.前年度の結果のよれば,6-NNEによる増強作用は非特異的リポキシゲナーゼ阻害薬であるNDGAやAA861により抑制され,シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンや12-リポキシゲナーゼ阻害薬であるバイカレインは6-NNEによる増強作用をさらに増加した.5-リポキシゲナーゼ阻害薬は6-NNEによる増強作用に影響しなかった.これらの結果により,リポキシゲナーゼがこの増強作用に関与している可能性を示唆した.しかし,これら薬物の特異性については検討していなかった.NDGAはリポキシゲナーゼ阻害作用以外にも,ホスホリパーゼA2,P-450,チロシンリン酸化酵素の活性を阻害する.また,AA861が抑制する濃度はリポキシゲナーゼ阻害濃度として報告されているものの100倍以上であるので,リポキシゲナーゼ阻害に特異的な濃度とは言えない.また,バイカレインはMAPキナーゼの阻害作用がある.したがって,上記の各阻害薬の結果を正しく解釈するためにはこれまでのデータのみでは不十分である. 6-NNEの分布を検討する目的で,6-NNEに対するポリクロナール抗体を家兎を用いて作成し,この抗体の特異性を検討した.この抗体は6-NNEのカテコール部分を主に認識するため,他の内因性カテコールアミンと交差反応することが判明した.現在,再び抗体作成を行っている. 6-NN生成過程におけるスーパーオキシドの役割については,現在も検討中であり結論は出ていない.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nakaki,T.: "Endothelium-independent and-dependent vasoactivity of 6-nitronorepinephrine" Eur J Pharmacol. 357. 193-197 (1998)
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[Publications] 中木敏夫: "生体内ニトロ化、ニトロソ化、ニトロシル化におる機能修飾" 日本薬理学雑誌. 112. 161-168 (1998)
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[Publications] 中木敏夫: "高血圧とNO" 臨床神経科学. 16. 90-93 (1998)
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[Publications] 中木敏夫: "血管トーヌスに対する柴胡加竜骨牡蛎湯の内皮依存性および非依存性作用" Progress in Medicine. 18. 710-714 (1998)
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[Publications] 中木敏夫: "呼吸器疾患治療薬" 臨床看護. 24. 786-792 (1998)
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[Publications] 鈴木映二: "向精神薬投与によるラット脳内インターロイキン-1βとインターロイキン-1受容体アンタゴニストのmRNA濃度の変化" 精神薬療基金研究年報. 29. 201-207 (1998)
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[Publications] 中木敏夫: "医系薬理学" 中外医学社, 562 (1997)
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[Publications] 中木敏夫: "心血管病態とNO" 金芳堂, 210 (1998)