1998 Fiscal Year Annual Research Report
孤束核神経回路におけるATP受容体を介した神経間情報伝達の機能的役割
Project/Area Number |
09680773
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 総夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20169519)
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Keywords | 孤束核 / 迷走神経背側運動核 / スライス / パッチクランプ / 後シナプス電流 / イオンチャネル内蔵型受容体 / アテノシン5-シリン酸 / ATP受容体 |
Research Abstract |
孤束核においてATP受容体を介した神経間情報伝達が機能しているか否かをスライス・パッチクランプ法を用いて検討した。平成9〜10年度の研究成果から以下の結論を得た。(1)孤束から孤束核2次ニューロンへの神経伝達において、pre側からpost側への伝達物質としてATPおよびATP受容体が用いられている可能性は低い。孤束刺激誘発の後シナプス電流中、CNQX,bicuculline,AP5およびstrychnine抵抗性の成分は検出できなかった。また、従来の急性解離ニューロンを用いた報告とは異なり、ATPによる内向き電流を示す孤束核ニューロンは見い出されなかった。 (2)しかし、孤束刺激誘発の後シナプス電流がa,β-methyleneATPで増強される孤束核2次ニューロンが認められた。さらにATPは同電流の遅延性抑制を起こした。この事実は、従来の形態学的方法でその存在が孤束核内に報告されていたP2X受容体がpost側ではなく孤束1次求心性線維終末に局在し、やはり終末のアデノシン受容体とともにグルタミン酸放出を修飾している新たな可能性を示す。(3)赤外線ビデスマイクロスコピー下に同定された迷走神経背側運動核の大細胞径ニューロンの約70%がATP投与でTTX括抗性の内向き電流を示した。これらのニューロンのすべてはbicucullineによって大部分、CNQXによって一部消失する自発性後シナプス電流を示したが、その頻度および振幅は、ATP投与によって甚だしく増加した。この増加はTTXにより消失した。この事実は、従来、急性解離ニューロンを用いて報告されている副交感神経節前線維細胞のみならす、その活動を抑制性あるいは興奮性に修飾している孤束複合体内神経細胞群にP2X受容体を発現するニューロンが数多く存在し、シナプス連絡を介して諸種内臓機能の制御に関与している可能性を示す。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kato,F.: "Adenosine 5'-triphosphate induces P2X purinoceptoe-and non-NMDA receptor-mediated inward currents of the solitary complex neurons in rat brainstem slice" Soc.NeuroscL Abstr.24. 630・2 (1998)
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[Publications] kato,F. & Masaki,E.: "Reduction of ATP-Induced currents by sevoflurane of identified locus coeruleus neurons in the rat pontine slice" Jap.J.PharmacoL. 印刷中. (1999)
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[Publications] Kato,F.: "Burst-like postsynaptic inward currents evoked by adenosine 5'-triphosphate of the solitary complex neurons in rat brainstem slice" Neuroscl.Res.22. S253 (1998)
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[Publications] Masaki,E.,Kato,F.Kondo,I. & Kawamura,M.: "P2X purinergic recetors as a possible site of action of sevoflurane." Anesthesilogy. 89. A113 (1998)
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[Publications] Kato,F.: "P2X purinoceptor-mediated postsynaptic currents of solitary complex neurons in rat brainstem slices identified by Infra-red differential Interference contrast videomicroscopy" Jpn.J.Physiol.48. S80 (1998)
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[Publications] 加藤総夫: "ニューロサイエンスの新しい研究方法-赤外線顕微鏡下の脳スライス・パッチクランプ法" クリニカル・ニューロサイエンス. 10. 848-849 (1998)