1997 Fiscal Year Annual Research Report
プルキン工細胞の生後成熟を支配する核内レセプターRORaの標的遺伝子
Project/Area Number |
09680777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松井 隆司 産業医科大学, 医学部, 助教授 (10140906)
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Keywords | 核内レセプター / 転写制御 / コアクチベータ- / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
RORaは小脳プルキンエ細胞の樹状突起形成に密接に関与しているオルファン核内レセプターである。プルキンエ細胞の生後発達の分子機構を明らかにするため、RORaのぷるきんエ細胞特異的な標的遺伝子の同定とその転写制御機構を解析した。プルキンエ細胞特異的な三種類の遺伝子プロモーター(Pcp-2,IP3R1およびPEP19遺伝子)の転写へのRORaの関与をトランスフェクション実験系で調べた結果、Pcp-2遺伝子の転写がその上流に存在するホルモン応答配列(RORE)に依存して二つのRORa(a1とa4)アイソフォームにより活性化されたが、IP3R1およびPEP19遺伝子の転写はどちらのRORaアイソフォームでも影響されなかった。RORa遺伝子に変異を持つプルキンエ細胞の樹状突起形成異常マウス(staggerer)でこれらの遺伝子の発現が消失することから、Pcp-2遺伝子のRORaの標的遺伝子であると考えられるが、IP3R1およびPEP19遺伝子のRORaの転写制御カスケードにおける位置については現時点では不明である。一方、RORaによる転写活性化機構を解析している過程で、RORa依存的な転写がグルココルチコイド(GR)やアンドロゲンレセプター(AR)など特定の核内レセプターサブグループによりホルモン依存的に抑制されることが明らかになった。さらに、タンパク-タンパク相互作用実験から、これら核内レセプター間のantagonismにCBP以外のcoactivatorが関与している可能性が示唆された。GRやARの発現がプルキンエ細胞で観察されているが、これらの核内レセプターとRORaとのクロストークがプルキンエ細胞の樹状突起形成過程における遺伝子転写制御に直接関与しているかは今後の検討課題である。
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[Publications] T.Matsui: "Transcriptional regulation of a Purkinje cell-specific gene through a functional interaction between RORα and RAR." Genes to Cells. 2. 263-272 (1997)
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[Publications] 松井隆司: "小脳形成とオ-ファン核内レセプターRORa." 蛋白質・核酸・酵素. 42. 2039-2048 (1997)
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[Publications] F.Kayama: "Proinflammatory cytokines and interleukin-6 inthe renal response to bacterial endotoxin." Cytokine. 9. 688-695 (1997)