1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680782
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
川島 育夫 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍免疫研究部門, 研究員 (40146824)
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Keywords | ガングリオシド / 抗ガングリオシド抗体 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
ガングリオシドGDlbは、ラット小脳初代培養中の顆粒細胞や神経様細胞へと分化誘導した細胞株に特異発現している。昨年度に引き続き、GDlbを含むb系列ガングリオシドの詳細な細胞内局在について免疫電子顕微鏡法を用い検討を行った。細胞はP19とPC12の細胞株を用いた。その結果、GDlbの発現は未分化の両細胞株ではほとんど観察されなかったが、分化誘導した両細胞株の細胞膜上と細胞膜直下の電子密度の高い細胞内構造(未同定ではあるがエンドソームと推測される)に観察された。細胞膜上でのGDlbの発現は、細胞体の細胞膜より神経突起のそれに多く分布した。また、細胞膜におけるGDlbの存在様式はクラスターの形成を示唆する金コロイドの集積がパッチ状となり、決して均一な分布を示さなかった。一方、核や核膜への明確な集積は認められなかった。また、ゴルジや小胞体への存在はそれぞれの蛋白質マーカーと比較して明確ではなかった。GD3の発現はGDlbの発現とは異なった。すなわち、未分化と分化した両細胞に観察されたが、特に細胞膜への局在は認められず、金コロイドの集積がパッチ状となり細胞質内に強く認められた。また、GD3からGDlbへの生合成中間体であるGD2とGDlbが前駆体であるGTlbの発現は両細胞において観察されなかった。以上b系列のガングリオシドの発現は、免疫細胞化学的解析の結果を反映していた。存在様式の比較対照としてGDlbが特異発現するラットバーキットリンホーマ細胞株(RBL-2H3)についても検討を加えたところ、分化誘導した神経細胞株の発現と非常に類似していた。現在、いくつかの細胞内小器官の特異マーカーや細胞膜マイクロドメインに特異的に局在する分子とガングリオシドとの二重染色による発現確認を行っている。加えて、ガングリオシドの局在解析および他の機能蛋白質との会合状況を生化学的手法にて解析することを計画中である。
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