1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経インパルスによる神経栄養因子の機能調節の解明:神経回路網形成と可塑性
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09680783
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
伊藤 康一 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (30291149)
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Keywords | Neuron / Plasticity / Cell Adhesion Molecules / LTP / Brain / Nervous System |
Research Abstract |
神経接着分子は神経系の形態形成とその維持という大変重要な役目がある。しかし、この分子が神経回路形成と可塑性を調節する上でどのように制御されているかは未だ解明されていない。最近、神経の可塑性に神経栄養因子の神経活動依存的調節機構が関与していることが示唆された。従って神経回路網形成および可塑性に、特異的神経インパルスのパターンと神経接着分子さらに神経成長因子の3者間の関与が重要であると考えられる。平成9年度は感覚神経細胞での神経接着分子(NCAM,Ll,N-Cadherin)の発現が、神経インパルスのパターンによって上昇または減少することが明らかにした。更に神経インパルスのパターンが細胞内情報伝達系の活性化に複雑な影響を与えていることが明らかとなった。平成10年度は平面多点刺激記録電極装置を使用し、多電極培養皿上でラット海馬切片のCA1領域における長期増強(LTP)を1時間以上安定して誘導記録することに成功した。更にこのLTPによりL1分子の脱リン酸化を介してクラスリン依存的な細胞内移行が促進され神経の可塑性が変化することを示した。 一方、ミエリン形成という重要な役割を持つオリゴデンド口サイトも神経回路網の形成等に大変重要な役割を担っている。その基礎過程で神経細胞やその軸索がどのようなシグナルを神経及びグリア細胞から受けて、更に別の細胞に送り、どのように正確に標的部位に達し神経回路網を形成するかという機構を理解する事は大変重要である。そこで、新たにオリゴデンド口サイトの分離培養法を考案し、神経活動との関係について検討中である。
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