1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80203131)
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Keywords | 記憶学習 / ヨーロッパモノアラガイ / 免疫組織化学 / 最初期遺伝子 / cDNAライブラリー |
Research Abstract |
1 ヨーロッパモノアラガイにおけるFos,Jun,CREBの免疫組織化学 市販されているFos,Jun,CREBの抗体は哺乳類由来のものであり,無脊椎動物で認識されるか否かは不明であった。そこでまず,ヨーロッパモノアラガイから中枢神経系単離し,複数種類の抗体を用いてウエスタン・ブロッティング法により認識蛋白を確認した。その結果、哺乳類で報告されている大きさの蛋白質の前後に数本バンドが確認され、哺乳類の抗体が,少なくともモノアラガイでは不適切なことが分かった。このような結果は残念ながら,単発的もしくは必要最低限のデータのみを報告している無脊椎動物におけるこれらの蛋白質に対する免疫組織化学の論文に対して,その正当性に疑問を投げかけるものであった。従って、本研究者は実験のストラテジーを変更し,ヨ-リッパモノアラガイのfos,jun,CREBのクローニングを行って塩基配列を決定して,in situハイブリダイゼーション法でmRNAレベルの解析を,先に行うことにした。 2 cDNAライブラリーの作製とfos,jun,CREBのクローニング モノアラガイの中枢神経系から抽出したmRNAを逆転写酵素でDNAに直し,それをvectorでファージに挿入して,cDNAライブラリーを作製した。次にそのファージ液を大腸菌に感染させて,組み込んだcDNAを発現させたものを1で使った抗体でスクリーニングした。このスクリーニングを何回か行い,ポジティブプラークだけが取れる段階まで来た。現在は,これらをPCRで増幅させ,シークエンスを調べている最中である。もっとも1の結果から分かるように,用いている抗体は目的の蛋白質以外も認識しているので,このプロセスも何回か繰り返し最適なものを見つける必要がある。しかし,これは数を重ねれば必ず正解に行き当たるため,次年度早々には,次のステップに入れると確信している。
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[Publications] 伊藤悦朗: "アメフラシの記憶学習" 行動生物学(青木清編著,朝倉書店). 68-69 (1997)
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[Publications] 伊藤悦朗: "ナメクジの記憶学習" 行動生物学(青木清編著,朝倉書店). 74-75 (1997)
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[Publications] 伊藤悦朗: "軟体動物腹足類における感覚情報処理と連合学習機構" 生物物理. 37. 150-154 (1997)