1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによるコンタクチン遺伝子欠損マウスの作製と解析
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09680789
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
深間内 文彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90240746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 和忠 東京都, 老人総合研究所・細胞認識部門, 室長 (70114717)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
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Keywords | コンタクチン / 接着分子 / 神経細胞 / 標的遺伝子組換え / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
コンタクチンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する脳神経系特異的細胞接着分子であり、脳の発生と発達過程に密接な関わりをもつと考えられている。このコンタクチン遺伝子のノックアウトマウスの作製および解析が本研究のテーマである。 昨年度、標的遺伝子組換え法を用いたコンタクチン遺伝子ノックアウトマウスの作製を開始した。相同組換え反応を利用してコンタクチン遺伝子の第2エクソンを欠失させる目的で、薬剤選択マーカー遺伝子を接続した相同組換えベクターを用いて導入遺伝子を構築し、電気穿孔法によりマウス胚性幹細胞(ES細胞)に導入した。in vitroで薬剤により相同組換えを起こしたES細胞を選別し、マウス受精卵と相同組換えを起こしたES細胞を集合キメラ法により混ぜ合わせ、キメラマウスを作製した。次に、キメラマウス個体内でES細胞が生殖細胞に分化したES細胞由来のマウス(生殖キメラマウス)を得、最終的にコンタクチン遺伝子のノックアウトマウスを作製した。得られたコンタクチン遺伝子ノックアウトマウスは出生時には野生型マウスと比較して著変は認められなかったが、生後1週目前後より様々な運動失調を呈し始めた。例えば、不随意運動や体のバランスがうまくとれず真直ぐな歩行が困難であったりして、そのため水や飼料を上手に摂取できず、結局、生後3週目頃にはノックアウトマウスは全例死亡した。死因は遺伝子ノックアウトによる直接的なものか、著しい運動失調に由来する栄養摂取不良によるものかは現時点では不明である。 このようにノックアウトマウスは生後まもなく致死になるため、その原因を現在、脳神経系の形態学的、生化学的、電気生理学的解析により詳細に検討中である。さらに、従来のジーンターゲティング法は、個体において特定の遺伝子の機能を解析するための優れた技法であるが、生殖細胞に遺伝子変異を導入するため、ノックアウトマウスのすべての細胞に遺伝子変異がおこることになる。今回のように致死に至った場合、生命維持にとって重要な組織の機能不全により、他の組織で認められる表現型が修飾されているのかどうかを判定することが、はなはだ困難になることがある。マウスがある程度成長してからコンタクチンの遺伝子機能を脳内の特定の部位で潰すことが出来れば、コンタクチンの記憶学習などに対する働きを直接調べることが可能である。そのためにCre/loxP組換えシステムを用いたコンディショナルターゲティング法の導入を考えており、是非ともこの手法を確立し様々な疾患の解明に応用したいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "Tyrosine hydroxylase activity and its mRNA level in dopaminergic neurons of tenascin gene knockout mouse" Biochem.Biophys.Res.Commun.231. 356-359 (1997)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "Paradoxical response for apomorphine in tenascin-gene knockout mouse" Eur.J.Pharmacol.338. 7-10 (1997)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "Effects of cholecystokinin-B receptor aitagonist on dopamine system in tenascin mutant mice" Neuro Report. 8. 3919-3922 (1997)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "Reduced mRNA expression of neuropeptide Y in tenascin-gene disrupted mouse brain." Neuropeptides. 32. 265-268 (1998)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "Ethanol induces subtype-specific up-regulation of muscarinic acetylcholine receptor mRNA in neurohybrid cell lines" Life Sci.62. 389-396 (1998)
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[Publications] Fukamauchi,F.: "The effects of central administration of neuropeptide Y on behavior of tenascin-gene knockout mice" Neuropeptides. 32. 461-464 (1998)