1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチン遺伝子ノックアウトマウスを用いた保育行動制御分子機構の研究
| Project/Area Number |
09680791
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Mie University |
|---|
Principal Investigator |
田中 実 三重大学, 医学部, 助教授 (90024736)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 隆彦 三重大学, 医学部, 助手 (60293776)
津村 秀樹 三重大学, 医学部, 助手 (20180052)
|
|---|
| Keywords | プロラクチン / ノックアウトマウス / ジーンターゲッティング / 保育行動 |
|---|
| Research Abstract |
1.プロラクチン遺伝子ノックアウトマウスの作出
マウスプロラクチン遺伝子の第4エクソン内に存在するXholサイトにネオマイシン耐性遺伝子を挿入して作成したターゲッティングベクターをES細胞に導入し、得られた相同組換え体ES細胞より生殖系列キメラマウスを得た。交配によりヘテロおよびホモに変異プロラクチン遺伝子を有するマウスを得、脳下垂体におけるプロラクチンの生物活性をNb2細胞にたいする増殖促進能を指標として調べたところ、ヘテロのマウスは生物活性を有するプロラクチンを正常マウスと同レベル産生していたが、ホモのプロラクチン遺伝子変異マウスでは生物活性を有するプロラクチンは検出されなかった。
2.プロラクチンノックアウトマウスの生殖能力の解析
正常、ヘテロ、ホモの各マウスを交配し、生殖能力を観察したところ、オスのマウスではヘテロ、ホモともに生殖能力は正常であった。一方、メスのヘテロマウスは正常な生殖能力を有していたが、ホモのメスは、オスとの交尾による膣栓が認められても妊娠せず不妊であった。また、擬妊娠状態にもならなかった。
3.プロラクチンノックアウトマウスの表現型異常の解析
ホモのプロラクチン欠損マウスにおいてオス、メスともに成長度は正常マウスと変わらず免疫機能にも異常は認められなかった。しかし、20週令での乳腺の発育を正常マウスと比較すると、プロラクチン欠損マウスの乳腺は、乳管の分岐はみられるものの、腺胞の発達がほとんど認められなかった。
4.プロラクチンノックアウトマウスの母性行動の解析
ホモのプロラクチン欠損マウスのメスは不妊であるため仮仔にたいする母性行動を観察したところ、予想に反して、プロラクチン欠損マウスにおいても正常マウスと同様の母性行動が観察された。
|
