1997 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Otf6による神経可塑性のメカニズムの解析
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09680792
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 敏男 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (80252526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸原 重美 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (60252524)
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Keywords | Otf6 / 転写因子 / ノックアウトマウス / 胎生致死 / 細胞周期 / コンディショナルノックアウトマウス |
Research Abstract |
転写因子Otf6はクラスIIIのPOUホメオドメイン遺伝子群の一つである。この遺伝子は胎生期の初期から発現しており、脳では大脳皮質の2/3層や5層および海馬のCA1領域で発現している。また近縁の遺伝子が脳で発現していることなどよりこの遺伝子は脳機能の獲得維持に役割を果たしていることが予測されている。この遺伝子の一部を欠失した形でのミュータントは生後すぐに呼吸機能の異常により死亡する。ところが転写因子Otf6遺伝子座をほとんどすべての領域にわたって、相同組み替え法を用いて欠失させるとホモザイゴ-トは胎生初期に致死となる。形態学的にはワイルドタイプと比較してサイズの小さい構造の不規則なホモザイゴ-トが観察された。またプラストシストの培養ではICMの増殖の低下および一部には24時間以内での消失が観察された。以上の結果およびブロモデオキシウリジンの取り込みの低下が見られることから、ホモザイゴ-トの胎児では胎生初期の非常に細胞分裂の活発な時期に細胞周期の停止が起こっている可能性が示唆された。RT-PCRにより細胞周期の調節に関連している遺伝子の発現を調べるとcycd1、mdm2は発現が低下していたがBrca1には変化はなかった。したがってOtf6遺伝子座の欠失による致死は細胞周期の制御に異常が起こりG1期で細胞増殖の抑制が生じた結果によるものと考えられる。現在遺伝子座の欠失に伴い発現レベルの変化する遺伝子およびシスに影響を及ぼされる可能性のある周辺の遺伝子の探索と同定を行っている。また、この遺伝子の成体での機能を調べるためにCre-loxPを利用した、コンディショナルノックアウトマウスの作成を試みた。現在Otf6遺伝子座を挟みこんでloxPを二箇所持つES細胞を単離しておりキメラマウスを作成しgermline transmissionを確認しているところである。またCre発現マウスについては3種類のコンストラクトを作成しトランスジェニックマウスの作成を行い発現の特異性を確認している。
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