1998 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類海馬オータプスにおけるシナプス小胞開口放出の分子機構と修飾作用の解明
Project/Area Number |
09680819
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
山口 和彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (00191221)
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Keywords | 歯状回 / オータプス / シナプス開口放出 / フォルスコリン / cAMP / EPSC / Aキナーゼ / 即時放出可能プール |
Research Abstract |
平成10年度においては、特にフォルスコリンの歯状回神経細胞オータプス伝達への効果について解析した。ラット海馬神経細胞を単離し、グリア細胞マイクロアイランド法で培養することによりオータプスを形成させ、この系にアデニレートサイクラーゼ活性を上昇させcAMP濃度を上昇させるフォルスコリンをバス投与し、シナプス伝達に対する効果を電気生理学的に解析した。フォルスコリン(100μM)により細胞内cAMP濃度を上昇させると興奮性シナプス電流振幅が増大した。1,9-ディデオキシフォルスコリン(100μM)は効果がなかったので、Kチャネルを介した効果ではないことが示された。また、Aキナーゼ阻害剤KT5720の同時投与によりフォルスコリンの効果はほぼ完全にブロックされることから、cAMPは直接チャネルなどに作用したのではなく、Aキナーゼの活性化を介して何らかの蛋白質を燐酸化し、EPSC振幅を増大させたことが示された。フォルスコリンの作用点を調べるために、自発性徴小EPSC(sEPCS)の振幅分布と放出頻度に対するフォルスコリンの影響を調べたところ、フォルスコリンによりsEPSCの頻度は有意に上昇したが、sEPSCの振幅分布には変化が見られず、従ってフォルスコリンの作用点がプレシナブティックであることが示された。しかし、ペアトパルス修飾比はフォルスコリンによって変化しなかった。これらの結果とモデルを用いた解析により、フォルスコリンによる開口放出の増強は、放出確率ではなくシナプス小胞の即時放出可能プールサイズが増加するメカニズムが推定された。シナプス小胞ドッキングに関与する蛋白質が燐酸化され、即時放出可能プールサイズが変化する可能性も考えられた。本研究により、Aキナーゼによる燐酸化による開口放出増強の分子機構の理解が進んだ。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yamaguchi,K.: "Analysis of the modulation mechanisms of synaptic exocytosis in rat hippocampal neurons in micro-island culture." Jpn J Physiology. 48 Suppl. S19 (1998)
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[Publications] Yamaguchi,K.: "Suppression of synaptic exocytosis through 5-HT_<1A> receptor in cultured rat hippocampal neuron." Neuroscience Research. Suppl.22. S100 (1998)
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[Publications] Osania,M.: "The mechanisms of synaptic potentiation at microculture of single hippocampal neuron from rat dentate gyrus region." Neuroscience Research.Suppl.22. S100 (1998)
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[Publications] Yagi,J.: "Inhibition of the growth cone H-current by clonidine in cultured rat dorsal root ganglion neurons." Society for Neuroscience Abstract. 24. 2089 (1998)
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[Publications] 山口和彦: "神経伝達物質放出のメカニズム" Clinical Calcium. 8. 200-202 (1998)
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[Publications] 山口和彦: "シナプスにおける神経伝達物質放出機構" 生物物理. (印刷中).
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[Publications] Osania,M.: "“Neural development"" Eds:Uyemura K,Kawamura K and Yazaki T. Springer, 544(481-485) (1998)
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[Publications] Kogure,M.: "“Slow synaptic responses and modulation"(印刷中)" Eds:Higashida H,Kuba K,Brown DA and Yoshioka T. Springer,