1997 Fiscal Year Annual Research Report
網膜シナプスにおける神経伝達物質とカルシウムの相互調節機構
Project/Area Number |
09680820
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30214480)
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Keywords | 網膜水平細胞 / GABAc受容体 / Ca^<2+> / Zn^<2+> |
Research Abstract |
網膜水平細胞GABAc受容体には細胞外Zn濃度依存性の応答調節機構が存在することが知られている。網膜外網状層シナプス間隙では、暗時には細胞外Ca濃度の低下とZn濃度の上昇が起こり、明時には細胞外Ca濃度の上昇とZn濃度の低下が起こると考えられている。このことからGABAc受容体活性は細胞外Ca濃度によっても調節を受けると考えられる。本研究では培養アメリカナマズ網膜水平細胞にパッチクランプ法を適用し、GABAc応答の細胞外CaおよびZn濃度依存性調節機構とその相互作用について検討した。 本実験では長期培養に耐えうる錐体入力型水平細胞を用いた。急速潅流法を用いてGABAを投与したときにGABAc受容体を介して発生するイオン電流は、細胞外Ca濃度を上昇させると増大し、細胞外Ca濃度を低下させると減少した。このGABAc応答の濃度-反応曲線を記述するのに必要なHill係数とEC_<50>は、細胞外Ca濃度が2.5mMのとき1.54と3.0μM、10mMのとき1.24と3.1μMとなりほぼ同じであった。しかしながら10mM Ca液中で得られる最大応答は2.5mM Ca液中で得られる最大応答より大きかった。一方Caチャネル活性化にともなう細胞内への大量のCa流入ではGABAc応答の増強は起こらなかった。このことから細胞外Ca濃度の増大に伴うGABAc応答の増大は、細胞外Ca結合部位へのCa^<2+>の結合でGABAc受容体のチャネル活性が高まることによるものと考えられる。一方GABAc反応は細胞外Zn濃度を上昇させると減弱し、細胞外Zn濃度を低下させると増大した。GABAc応答に対する細胞外CaとZnの効果は非競合的であった。このことからGABAc受容体上にはCa^<2+>とZn^<2+>の独立な結合部位が存在し、GABAc受容体の活性を拮抗的に調節していると考えられる。
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