1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞樹上突起における電位依存性Ca2+チャンネルの機能
Project/Area Number |
09680822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
宮川 博義 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (90166124)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / Ca^<2+>チャネル / K^+チャネル / Ca^<2+>画像解析 / Fura-2 |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞の樹状突起に存在するCaチャネルの種類を、Ca画像解析法により同定した。ラット小脳スライス標本を作成し、Ca感受性蛍光色素Fura-2を詰めたパッチ電極をもちい、単一のプルキンエ神経細胞の樹状突起の先端まで色素を注入、パッチ電極からの電流注入によって神経細胞を脱分極せしめ、このときにCaチャネルの活性化に伴って生ずる細胞内Caイオン濃度の変化を、顕微鏡に取り付けた高感度科学計測用冷却CCDカメラにより蛍光強度の変化として観測した。更にCaチャネルの阻害薬を用いて関与するCaチャネルの種類を同定した。この研究により、樹状突起及び細胞体にはP型Caチャネルが存在すること、樹状突起に存在するP型CaチャネルはCa依存性活動電位の発生を司っていること、樹状突起にはP型以外にNi^<2+>感受性低閾値型のCaチャネルが存在し、活動電位発生をブ-ストしていることが明らかとなった。Ca上昇の電位依存性を調べた実験は、このNi^<2+>感受性低閾値型のCaチャネルはα_<1E>がたサブユニットを持つチャネルである可能性を示した。免疫組織学的には存在が証明されていたL型およびN型のCaチャネルによるCa濃度上昇は観察されなかった。また、この研究の過程で4-AP感受性のKチャネルが膜電位の急速な脱分極を押さえる役割を担っていることが明らかとなった。4-AP感受性の既知のKチャネルはいずれも低閾値で不活性化を示すことがわかっている。この研究から、樹状突起には不活性化を示す低閾値活性型のCaチャネルをKチャネルとが共存しており、プルキンエ細胞のシナプス応答を協調的に調節している可能性が明らかになった。
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