1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭髪モデル動物の開発とそれを用いた実験システムの確立
Project/Area Number |
09680835
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 奈緒子 実験動物中央研究所, 研究員 (30311236)
窪田 泰夫 聖マリアンナ医科大学, 助教授 (10126047)
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Keywords | ヒト頭髪 / 単離頭髪 / 凍結保存 / 免疫不全マウス / ヒト頭髪バンク / 毛乳頭移植 / 再構成ヒト皮膚 |
Research Abstract |
昨年度の研究により、単離ヒト頭髪毛包は通常の細胞凍結技術の応用で比較的簡単に凍結保存が出来ることが判明した。そのため、上記の方法で凍結保存しておけば、計画的な移植実験が可能となる。すなわち、移植成功率が1/4-1/3と考えると、一匹に10本程度の移植をしておけば、ほぼ2本のヒト頭髪を持った免疫不全マウスが得られるということになり、十分、実用に耐えうる。以上の結果が得られたため、年齢、性、部位、疾患別に整理して、“単離ヒト頭髪バンク"を作ることを試みた。しかしながら、最近の剖検率の低下、特に、頭部の剖検体数の低下、臨床におけるインフォームド・コンセントの難しさなどの問題があり、現在までのところ、総数11例に止まっている(いづれも健常人の頭髪、男女ほぼ同数、部位別には側頭部が多い)。 この実験系を用いて本年度は、コラーゲンゲル中に培養したヒト線維芽細胞と培養ヒト表皮細胞を用いて免疫不全マウス皮膚表面に再構成ヒト皮膚を作製し、その中にヒト頭髪から分離した毛乳頭組織を直接に注入して、新たな毛包形成の誘導を試みた。3週間後、組織学的検討を行ったところ、コラーゲン・ゲル中に毛乳頭組織は残存し、毛乳頭の組織片は僅かであるが増殖傾向を認めたものの、その被覆表皮や周辺の線維芽細胞をも巻き込んだ毛包構造の新生は認められなかった。現在、再構成ヒト皮膚中に各種成長因子やサイトカイン(FGF,SCF、その他)を混じて毛包形成の誘導の可能性を検討中である。
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