医用ポリマー表面の分子化学的制御による特異な細胞応答性の発現機構の解明

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09680847
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 嘉昭 理化学研究所, 表面分析室, 技師 ; 岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (90280990) ; 石原 一彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (90193341) ; 中林 宣男 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (30014020)
• Keywords: 医用ポリマー / MPCポリマー / 傾斜細胞応答性材料 / 細胞培養 / 生体適合性材料 / 高機能性材料の合成 / イオン注入材料表面 / 電子顕微鏡

Research Abstract

リン脂質極性基を有するポリマー(MPCポリマー)は極めて優れた生体適合性材料としての性質が明らかとなりつつある。この材料はタンパク質や血液細胞との相互作用が弱いため、これまで得られている生体適合性材料に比べ特異な性質を有している。研究分担者の中林は、このMPCを有するポリマーを中心として分子設計的手法を用い新規な生体適合性を有するポリマーを創案した。石原はこのMPCと疎水性のモノマーを組み合わせてさらに優れた高機能性高分子の合成法を確立した。岩崎はMPCをプラズマ重合法により基材表面にその分布に差を持たせてグラフト化し、傾斜細胞応答性表面を作成した。また、X線光電子分光計(XPS、現有)や動的接触角測定により基本特性の解析と、タンパク質との相互作用について円偏光二色性分光器(現有)で分析した。一方、鈴木は、この材料をネオンイオン注入法によりパターン化を行い、XPSにて表面物性の解析を行った。研究代表者の渡辺は傾斜細胞応答性表面及びイオン注入法でMPC表面をパターン化させた上でヒトの線維芽細胞、上皮性細胞の培養を行い、細胞応答性を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡(いずれも現有)により観察したところ、MPC表面以外の部分に細胞が粘着し増殖する傾向があることがわかった。そこで、細胞の機能(物質産生能)や細胞膜表面の状態と細胞の動的応答性について解析し、タンパク質の吸着状態、さらには細胞機能との関連より詳細な考察を行った。