1997 Fiscal Year Annual Research Report
強靭性リン酸カルシウムファイバーを複合した多機能型人工骨の合成とバイオメカニクス
Project/Area Number |
09680851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30233729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 良弘 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90024223)
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Keywords | 結晶化ガラス / リン酸カルシウム / ファイバー / ポリ乳酸 / 人工骨 / ヤング率 / 複合材料 / 生体材料 |
Research Abstract |
人工骨等を目的とする材料としては、最近では、生体活性・吸収性、薬物徐放等の能力を兼ね備えたもの(多機能型人工骨材料)が望まれている。本年度は、生体吸収性をもつポリ乳酸重合体(PLLA)と、筆者らの開発した強靭性の生体親和性β-Ca(PO_3)_2ファイバー(CPF)との複合化により、骨と同等の弾性率、外部からの荷重にも耐えうる勒性、さらに骨伝導性をも有する新しい生体吸収性人工骨材料を開発することに主眼に置き、研究を進めた。 PLLA(分子量約16万)をジクロロメタン中に溶かした後、CPFを混入・撹拌した混合物を金型(〜40mmφ)に流し込み、室温で8h乾燥させた。得られたポリ乳酸/ファイバーの固化体を180℃で1h加熱し、続いて40MPaで15minホットプレスした。ファイバー含有量は、10〜60wt%とした。PLLA/CPF複合体ではCPF含有量が多いほど材料の強度が低下する傾向が見られた。一方、CPFを0.2N-NaOH水溶液で処理して表面にオルトリン酸カルシウム相を生成させたCPF(t)を作製して、これを複合化したところ、大きな強度低下はなく、ヤング率は増大した。5GPa以上のヤング率をもつ材料の作製は、20%以上のCPF(t)を複合することにより達成できる。この複合体は、最大応力に達した後、徐々に段階的に破壊することが分かった。破断面には、多数のファイバーのプルアウト跡と複雑に入り組んだ面が観察された。またクラックは大きく迂回する様子が観察できた。破壊には大きなエネルギー(アパタイト焼結体の20倍以上)が必要とされることが分かった。これはCPF(t)がマトリックスと一体化している事に起因する。
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Research Products
(1 results)