1999 Fiscal Year Annual Research Report
強靭性リン酸カルシウムファイバーを複合した多機能型人工骨の合成とバイオメカニクス
Project/Area Number |
09680851
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30233729)
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Keywords | 結晶化ガラス / リン酸カルシウム / ファイバー / ポリ乳酸 / 人工骨 / ヤング率 / 複合材料 / 生体材料 |
Research Abstract |
本年度は、生体内での挙動の予測として、種々のファイバー含有量を有するPLA/CPF複合体を擬似体液に浸漬して強度の変化について主として検討し、最適な比率を決定することを目的とした。 PLA単味、35%複合材料を擬似体液に浸漬したのちの機械的性質の変化をぬれたまま調べた。浸漬により曲げ強度、ヤング率とも低下することがわかった。浸漬3ヵ月後において、PLAの曲げ強度が約80%も低下したのに対し、複合体では曲げ強度は初期の約50%を維持していた。ヤング率の変化においては曲げ強度の場合ほど大きく低下しなかった。 浸漬前後の試料の応力-歪み曲線から、PLA単体では完全に脆化してカタストロフィックな破壊を示したのに対し、CPF含有量35wt%複合体では浸漬後も粘り強い破壊挙動を維持した。曲げ試験後の断面を観察すると、ファイバーを含まないものはかなり平面的であったが、ファイバーを含むものは大きくクラックが迂回した痕が見られた。曲げ強度の低下は水によってPLAが分解されることによる。この分解はPLA相の著しい脆化を引き起こす。しかし、CPFが含有されていると、PLAが脆化しても、荷重を巧くファイバーが負担して、試料全体の粘り強い性質を維持するのに貢献すると考えられた。 PLAとファイバーとの複合化には急速な機械的性質の劣化を抑え、ねばり強さを維持するという、大きな長所があることがわかった。生体内である程度長い期間の生体吸収性インプラントを必要とする場合に適した材料になると期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kasuga,et al.: "Preparation of polylactic acid composites containing β-Ca(PO_3)_2 fibers"J.Mater.Res.. 14. 418-424 (1999)
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[Publications] 春日敏宏,他: "メタリン酸カルシウムファイバーを含有するポリ乳酸複合体の作製と力学的特性"生体材料. 17. 109-114 (1999)
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[Publications] T.Kasuga,et al.: "Mechanical properties of polylactic acid composites containing β-Ca(PO_3)_2 fibers"Phosphorus Res.Bull.. 10. 640-645 (1999)
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[Publications] T.Kasuga,et al.: "Polylactic acid composites containing hydroxyapatite fibers"Bioceramics. 12. 437-440 (1999)
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[Publications] T.Kasuga,et al: "Mechanical properties of polylactic acid composites containing β-Ca(PO_3)_2 fibers in simulated body fluid"J.Mater.Sci.Lett.. 18. 2021-2023 (1999)
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[Publications] T.Kasuga,et al.: "Surface modification of calcium metaphosphate fibers"J.Mater.Sci.:Mater.Med.. 11(印刷中). (2000)