1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治療への生体活性骨セメントの応用(新しい骨折治療の開発)
Project/Area Number |
09680852
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池田 登 京都大学, 医学研究科, 助手 (10273442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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Keywords | 生体活性骨セメント / 骨欠損 |
Research Abstract |
我々は生体活性骨セメントを開発し、その研究を進めてきた。今回、骨欠損に対する補填材料としての可能性を評価するために、ウサギの骨欠損を生体活性骨セメントで置換する実験を行なった。対照としてPMMA骨セメントを用いた。 体重3kgの日本白色家兎の右脛骨骨幹部のほぼ中央に15mm長の骨欠損(segmentol defect)を作成し、2mm径のキルシュナー鋼線2本で脛骨の近位部と遠位部を固定し、この骨欠損を生体活性骨セメント(dough type)及びPMMA骨セメントで補填した。特に外固定は行なわず、術直後より全荷重させた。12週及び25週で各群6羽ずつ屠殺し、脛骨を摘出した。肉眼的には、両者とも骨セメントの表面に仮骨の形成がみられた。キルシュナー鋼線を抜釘した後、仮骨をセメント充填部の中央で全周性に切離し、近位部と遠位部の仮骨による連続性を断ち、tension testを行なった。さらに非脱灰組織標本を作成し、ギムザ染色やcontact micro radiography(CMR)による組織学的評価を行ない比較した。 tension testでは、生体活性骨セメントおよびPMMA骨セメント群で、それぞれ、12週で8.065±2.431、2.698±1.763、25週で8.965±3.257、3.283±2.983であり、生体活性骨セメントはPMMAセメントに比べ有意に高かった。両群とも12週と25週との間では有意差は認められなかった。また組織学的検索では、PMMA骨セメントは線維性組織を介して骨と結合していたが、生体活性骨セメントは骨と直接結合していた。両セメントともに、キルシュナー鋼線との間に金属の磨耗粉は観察されなかった。 生体活性骨セメントは、このような荷重下においても良好な骨結合が得られ、骨欠損に対する補填材料としての応用が可能と考えられる。
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