1997 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合活性ポリペプチドを用いた融合性リボソームの創製と遺伝子送達システムへの応用
Project/Area Number |
09680858
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高岸 徹 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 健司 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (90215187)
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Keywords | 遺伝子治療 / 膜融合 / リポソーム / プラスミドDNA / カルセイン / ポリエチレングリコール / ホスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
近年、分子生物学、分子遺伝学の発達に伴い、遺伝に関する多くの知識が集積され、遺伝の機構が分子レベルで明らかにされるようになってきた。また、ガンやエイズなどの疾病に対して、遺伝子治療が試みられつつある。遺伝子治療を治療技術として確立するためには、細胞に対する毒性が小さく、しかも目的遺伝子を効率よく細胞内に導入することが必要になる。 本研究においては、膜融合によって細胞内に効率よく物質を移行させる膜融合性リポソームの開発を目的として、まずその最初のステップとして、膜融合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)と類似の主鎖構造をもち、側鎖にアミノ基を有するアミノプロピオニル化ポリグリシドールを合成し、この高分子で修飾したりポソームを逆相蒸発法によって調製した。このリポソームの融合性を共鳴エネルギー移動法で調べた結果、添加する高分子量を増やすと融合性は増大することが分かった。またリポソームの膜脂質にホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を加えた場合にも、融合性は増加することが分かった。このリポソームによるCV-1細胞へのカルセインの運搬について調べた結果、より多くの高分子を添加した場合、またリポソーム膜脂質中にDOPEを加えた場合に、細胞内からより強い蛍光が観察された。またプラスミドDNAの細胞内への導入についても調べた。その結果、融合性がより高いリポソームを用いた場合ほど、細胞内におけるプラスミドDNAの発現効果がより高くなることが分かった。
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