1998 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合活性ポリペプチドを用いた融合性リポソームの創製と遺伝子送達システムへの応用
Project/Area Number |
09680858
|
Research Institution | OSAKA PREFECTURE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高岸 徹 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 恵治 大阪府立大学, 工学部, 助手 (20239693)
|
Keywords | リポソーム / 遺伝子治療 / 膜融合 / 両親媒性高分子 / ポリペプチド / 温度感受性高分子 / 薬物送達システム |
Research Abstract |
種々の両親媒性ポリペプチドや高分子を固定化したリポソームを調製し、その膜融合性について検討した。末端に長鎖アルキル基を結合した両親媒性ポリペプチドPoly(Glu-Aib-Leu-Aib)を合成し、このポリペプチドを固定化したリポソームの膜融合性について調べた結果、酸性条件下で融合性が増大することがわかった。一方、β-アラニンを結合した両親媒性高分子ポリグリシドールを固定化したリポソームは、その膜組成に依存してアニオン性リポソームに対して融合性を変化させることが示された。さらに、温度感受性高分子ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)で修飾したリポソームは、その転移温度付近において融合性が増大することが示された。クロラムフェニコールアセチル転移酵素の遺伝子を含むプラスミドを封入したβ-アラニン結合ポリグリシドールで修飾したリポソームによる動物細胞への遺伝子導入について調べた。その結果、高い膜融合性を示す膜組成のリポソームと処理した細胞からはクロラムフェニコールアセチル転移酵素活性が見られ、内包されたプラスミドDNAが細胞内に導入されることがわかった。一方、酸性条件下で膜融合性となるサクシニル化ポリグリシドール修飾リポソームをDNA-カチオン性脂質コンプレックスと複合化させたリポソームを用いて種々の動物細胞へのルシフェラーゼ遺伝子の導入を行ったところ、細胞内での遺伝子の発現はあまり見られなかったが、この複合体にトランスフェリンを結合した場合、細胞中にルシフェラーゼ活性が発現することがわかった。細胞表面のトランスフェリンレセプターとの特異的結合によって複合体が特異的に取り込まれたのち、エンドソーム膜と融合することによって遺伝子が、細胞質内に運搬されたものと考えられる。これらの結果から、本研究で調製したこれらの膜融合性リポソームは遺伝子運搬体として有用であることが示唆された。
|
-
[Publications] H.Hayashi,K.Kono,T.Takagishi: "Temperature-dependent associating property of liposomes modified with a thermosensitive polymer" Bioconjugate Chemistry. 9・3. 382-389 (1998)
-
[Publications] K.Kono,K.Morimoto,T.Takagishi et al.: "Thermosensitive polymer-modified liposomes that release contents around physiological temperature" Biochimica et Biophysica Acta. 1416・1-2. 239-250 (1999)
-
[Publications] K.Kono,A.Henmi,T.Takagishi et al.: "Improvement of temperature-sensitivity of poly(N-isopropylacrylamide)-modified liposomes" J.Controlled Release. (in press).
-
[Publications] H.Hayashi,K.Kono,T.Takagishi: "Temperature-sensitization of liposomes using copolymers of N-isopropylacrylamide" Bioconjugate Chemistry. (in press).