1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680864
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 助教授 (80193473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 邦夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10112088)
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Keywords | 吸収スペクトル / 吸収端 / XANES / 細胞 / 生体分子 / シンクロトロン放射 / X線顕微鏡 / 分子イメージング |
Research Abstract |
今年度は主に、1)水溶液試料用の吸収スペクトル(XANES)測定チェンバーの設計・製作・テスト、2)凍結乾燥装置による細胞サンプルの作成、の2点に重点を置いた。具体的な成果は以下の通りである。 1)水溶液試料用の吸収スペクトル測定チェンバー 軟X線領域では空気による減衰のため測定はすべて真空中で行う。しかし生体試料は水溶液状態での構造によって生体内で機能を果たしており、構造変化に敏感なXANES測定を水溶液中で行うことは重要である。ガラス基板に1.5μmのマイラ膜を張り、数種の厚さの異なるスペーサーをはさんで厚さの決まった水溶液層をつくり、真空中に設置できる試料槽を製作した。この装置を現行の乾燥試料用測定ホルダーに装着し、真空リ-クテストを行った。測定は物質構造科学研究所・放射光施設BL-11Bにて、おもにイオウのK吸収端で行った。試料はイオウ含有アミノ酸、ペプチド、蛋白質である。水溶液層の厚さが50μmの場合が最もS/N比がよく測定できた。結果をこれまでに得られた乾燥試料の場合と比較したところ、微細構造に変化が観察され、水溶液中での構造変化が示唆された。さらにスペクトル変化の原因を検討中である。 2)凍結乾燥法による細胞試料の作成 凍結乾燥法は細胞構造を比較的よく保存する方法として電子顕微鏡の分野で利用されている。乾燥試料での細胞内各部分でのXANES測定を目標として、設備備品購入した凍結乾燥装置によって細胞内構造を維持したサンプルを作成した。試料はHeLa細胞を用い、軟X線の低い透過率を考慮して0.1μm厚のSiN膜上に培養した。凍結をゆっくり行うなどこのような超薄膜では特別の取扱が必要であることが明らかとなった。試料は走査電子顕微鏡で観察し、細胞周辺のmicrovilliなどよく保たれている印象であった。来年度はXANES測定に進む予定である。
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Research Products
(1 results)