1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680864
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 助教授 (80193473)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 邦夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10112088)
|
Keywords | 吸収スペクトル / 吸収端 / XANES / 細胞 / 生体分子 / シンクロトロン放射 / X線顕微鏡 / 分子イメージング |
Research Abstract |
今年度は、1)細胞及び細胞内小器官のXANES測定、2)細胞内微小領域のXANES測定、3)水溶液中でのXANES測定の分子識別への応用、を試みた。具体的な成果は以下の通りである。 1) 細胞及び細胞内小器官のXANES測定 細胞内及び細胞内小器官内でのXANES測定を乾燥試料について行い、細胞内環境場がXANESプロファイルに与える影響を、分子単独のスペクトルと比較することにより検討した。N-K吸収端では、細胞、核、ミトコンドリアのスペクトルにタンパク質とDNA特有のビークが観察され、細胞内環境場に依存したピークシフトは検出されなかった。同様の結果はS-K及びCa-L吸収端でも得られ、基本的にXANES返ビークを利用した細胞内分子イメージングには、分子単独のスペクトル情報が利用できることが確認された。ただし、O-K吸収端ではタンパク質分子のピークと細胞のビークがずれているという予備結果もえられており、吸収端によってさらに検討が必要である。 2) 細胞内微小領域のXANES測定 ズーミング管を検出器としたX線密着顕微鏡を用いて、核及び細胞質の吸収スペクトルをS-K吸収端にて測定し、1個の細胞内において吸収端構造を検出することができた。XANES徴細構造についてはさらに測定を継続したい。 3) 水溶液中でのXANES測定の分子識別への応用 前年度見出した水溶液中でのS-K吸収端におけるSH化合物とSS化合物のXANESビークの違いを、生体内で放射線、酸化ストレスからの防護に重要な役割を果たすSH化合物グルタチオン(GSH)のin Situ検出に適用できることを示した。水溶掖のGSHを照射しながら経時的にXANES測定を行い、SS結合をもつ酸化型グルタチオンに変化していく過程が観察された。これまでGSHのin situ検出は報告されておらず、新たな検出法として期待される。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] A.Ito et al.: "Observation of mammalian cells at higher magnification using X-ray contact microscopy with electronic zooming tube" Photon Factory Activity Report. 15,part B. 70 (1998)
-
[Publications] A.Ito et al.: "X-ray contact microscopy system for spectromicroscopy of biological specimens" Journal of Synchrotron Radiation. 5. 1099-1101 (1998)
-
[Publications] 伊藤敦、篠原邦夫: "軟X線顕微鏡による細胞の観察とスペクトロマイクロスコピー" RADIOISOTOPES. 47. 789-798 (1998)