1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 大 北海道大学, 文学部, 助手 (40237227)
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Keywords | 前提 / 推意 / 指示理論 / 同定 |
Research Abstract |
関連性理論や認知言語学の成果を通覧するため、スペルベル&ウィルソン(Sperber,D.&Wilson,D.)やブレイクモア(Blakemore,D.)らの関連性理論における前提と推意をめぐる諸研究、レイコフ(Lakoff,G.)、さらにはフォコニエ(Fauconnier,G.)らの認知言語学的ないし認知意味論的研究における前提理論関係の業績を収集して検討した。また、キエルキア(Chierchia,G.)やキャンプ&ライル(Kamp,H.& Reyle,U.)らによる形式意味論(とりわけ動的意味論)における前提現象研究の成果を整理した。 これらの調査を通じて、近年の言語学的・論理学的研究における「前提」およびそれに関連する限りでの「情報」概念についての理解と見通しを得た。そうした準備作業を土台に、会話における論理的規約の観念を軸とするグライス(Grice,P.)の前提と推意の理論や、同定的知識という着想に基づくストローソン(Strawson,P.F.)の指示理論・前提理論について研究し、それら言語哲学的な前提理論と近年の言語学や論理学における前提現象の処理を比較した。 こうした作業に関連して、前提現象をも含む単称名辞の指示をめぐる哲学問題設定一般についても吟味した。とりわけ、ストローソン的な前提理論と同定的指示との関係に関する基礎的な問題を整理した。加えて、対象の同定と対象の指示との関連を解明するための手掛りとして、対象の同一性に関わる哲学的問題を取り上げ、特にエヴァンズ(Evans,G.)、ヌ-ナン(Noonan,H.)、ジ-マック(Zemach,E.M.)らの議論を中心に、曖昧な同一性と相対的同一性との関係について検討した。
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