1997 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期から近世の形而上学における<存在の一義性>の思考について研究
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09710004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 泉 神戸大学, 文学部, 助教授 (50235933)
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Keywords | 存在の一義性 / 存在の類比 / 個定化の様態 / 内在的様態 / 形相的区別 / 存在-神-論 / ドゥルーズ / スコトゥス |
Research Abstract |
中世後期から近世にかけての形而上学の歴史における、<存在の一義性>の思考の意味と、それを通じてのスピノザ哲学の独自性を測定することを目的として研究は進められたが、今年度は次の知見を得た。 1、<存在の一義性>の思考の意味を明確にするために、現代においてこの思考の可能性を追求したジル・ドゥルーズの哲学を検討し、<存在の一義性>の思考の核心を、存在・意味=形式・個体化の様態の三位一体としてモデル化した。2、それと平行して、ドゥンス・スコトゥスにおける<存在の一義性>の思考の意味を、(スコトゥス的な)形而上学の形成との関係において明らかにする作業を、とりわけOrdinatioを素材に進めた。形相的区別の理論と内在的様態(modus intrinsecus)の理説の解釈が争点となることが明らかにされたが、そのテクストの難解さもあり、残念ながら最終的な結論を得るには至っていない。スコトゥスの議論と対抗関係にあるトマスにおける存在の類比の理説に関しては、その時期的な変遷に留意しながら大筋を把握するに至ったが、両者の議論の突き合わせの作業は現在進行中である。 今年度の研究成果を受けて、来年度は、1、<存在の一義性>の思考のモデルの核心として明らかにされた、個体化の様態を巡る問題を、とりわけドゥルーズの議論の再検討を通して解明すると共に、2、スコトゥスの理説の意義に関して一定の見通しを確立した上で、3、スピノザにおける<存在の一義性>の思考の持分とその意義を明らかにし、最終的には、<存在の一義性>の思考こそが、超越的な存在者としての神と他の存在者一般をつなぐ論理としての存在の類比の思考の崩壊を導き、また、存在-神-論としての形而上学と対抗関係にある、という仮設を検討することになろう。
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