1998 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児および健常児の自己の知識とその由来の理解について
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09710047
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小松 美加 (内藤 美加) 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00212077)
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Keywords | 心の理論 / 自閉症 / 誤信念 / 知識の由来 |
Research Abstract |
本年度は,平均言語年齢6歳以上の自閉症児と3〜6歳の健常児を対象に,誤信念ならびに自分の知識の由来(知識がいかにして得られたか)を理解する能力の発達を検討した。 誤信念を理解しているか否かは,標準的な心の理論課題である予期せぬ場所の置き換え検査を実施して調べた。すなわち,登場人物が対象物Aを場所Xにしまって立ち去った後,本人のいない間に対象物Aを場所Yに移し,本人が戻ってきたらAを探すのはどこかを推測してもらった。また,知識の由来は,「触る」と「見る」という2つの情報源が区別できるか否かを,トンネル検査で調べた。トンネル(箱)の中に入れた対象物Bの硬さ(触覚的情報源)もしくは色(視覚的情報源)を知るためには,箱の中の対象物Bを触って確かめる必要があるのか,覗いて見て確かめる必要があるのかを判断してもらった。 自閉症児と健常児の群間で両検査の遂行を比較したところ,自閉症児は言語年齢が同じか低い健常児に比べ,誤信念も知識の由来も理解が困難であることが示された。さらに健常児について,きょうだいの有無でこれらの心の理論の能力の獲得に相違があるかを検討した。その結果,上のきょうだいがいる子どもの方が,下のきょうだいがいる子どもよりも,心の理論の獲得が早く,年長のきょうだいが年少の子どもの心の理論の獲得を促進することが明らかになった。 しかし本研究では,以上の予備的データは得られたものの,健常児については欧米の先行研究で指摘されているよりも課題の遂行が全体に半年から1年遅れているように見えること,また自閉症児については,課題の教示の理解に著しい困難が見られることなどの未解決の問題が残された。より安定した結果と結論を得るためには,さらに実験を重ねる必要がある。
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