1997 Fiscal Year Annual Research Report
C-fos遺伝子の発現を指標とした脳内自己刺激行動に関わる神経伝達経路の同定
Project/Area Number |
09710048
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 直人 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (30211436)
|
Keywords | 自己刺激行動 / C-fos / 内側前脳側 / 前脳基底部 / 黒質 / 視床下部 / 線条体 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、c-fosの発現によるFos蛋白の生成を指標にして調べることで、外側視床下部への電気刺激を報酬として用いる脳内自己刺激行動の学習にしたがって神経活動の活発な部位がどのように変化するかを調べることである。さらに、既に様々な研究から明らかになっている神経伝達物質の投射経路(特にドーパミン、グルタミン酸)との比較を行い自己刺激行動により深く関わっている脳部位を特定することである。 今年度は、内側前脳束にあらかじめペントバルビタール麻酔下で脳内自己刺激を引き起こす部位である内側前脳束に刺激電極を埋め込んだラットを、電極埋め込み手術のみ行う群(統制群)、自己刺激行動を1日だけ1時間学習させる群(1日群)、5日間毎日1時間ずつ学習させる群(5日群)の3群に分け、統制群以外は、脳内自己刺激行動を学習させ、各群で最後の学習が終わった2時間後に脳を取り出しシュークロースに浸積し保存し、その後Fos抗体を用いて免疫染色を行った。 その結果、(1)統制群ではFos蛋白の発現はほとんど見られない、(2)1日群では様々な領域で広範囲にFos蛋白の発現が見られる、(3)5日群ではFos蛋白の発現は前脳基底部、線条体、視床下部前野、黒質などに減局される、などの知見が得られた。 今後は、(3)に関して、発現が減局された部位において、Fos蛋白が発現する細胞と神経伝達物質と関連を明らかにするために、ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸、GABA、アセチルコリン等の抗体を用いて、各々の抗体とFos抗体との2重染色を行い、脳内自己刺激行動で活性化される細胞がどのような神経伝達物質と深く関わっているかを調べていく予定である。
|