1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710064
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小山 幸子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所・統合生理研究施設, 助手 (40270483)
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Keywords | ヒト / 言語野 / 意味 / 脳磁場(MEG) / 左大脳半球 / 側頭葉 |
Research Abstract |
単語認知には予期が大きな効果を持つ。従来の認知心理学的な理論では予期によって被験者は意図的に心的辞書の状態を変化させることが可能であると想定されてきた。従って、単語の予期に関与する脳部位を検索することによって心的辞書の神経基板を解明する手がかりが得られることが期待される。本研究では正常被験者(右手利き11名)の両側の側頭部から誘発脳磁場を記録し、単語認知および単語の予期に関与する脳部位を探った。脳内の透磁率は比較的均一なため、2〜3mm程度の精度で脳内の活動部位の推定が可能である。各試行、四字熟語を前半(S1)と後半(S2)に分けて提示し、その組み合わせが正しいTrue条件(例、二束-三文、110組)、誤っているFalse条件(例、二束-方正、110組)を設けた。被験者にはS1が提示されたら四字熟語全体を想起するように教示した。8名の被験者において、S1およびFalseS2に対して左大脳半球側に刺激提示後350-450msに明確な成分が認められた。この成分はTrueS2に対しては認められなかった。活動源推定を行った結果、シルビウス裂周辺に推定された。右側からの記録では被験者間で一貫した条件差は認められなかった。被験者はTrueS2を予期することは可能だが、S1およびFalseS2を予期することはできない。従って、被験者の予期との一致によって単語認知に伴うシルビウス裂周辺活動が減少することが示唆された。昨年度までの検討では活動源の推定に、単一の活動源のみを仮定した解析を行ったが、今年度は複数の活動源を想定可能な解析ソフトおよび全頭型MEGによる測定を行って(於、カナダ、CTF社)、より精緻な活動源推定を行った。現在、シルビウス裂付近の活動が意味的なものか、音韻的なものかを確認するため実験を行っている。
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Research Products
(1 results)