1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710067
|
Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 亜矢子 札幌学院大学, 人文学部, 講師 (50271614)
|
Keywords | スクールカウンセリング / 学校臨床実践 / 学級風土 / Classroom Environment Scale / Learning Environment Inventory / 中学校 / メンタルヘルス |
Research Abstract |
スクールカウンセリンなど学校臨床実践のための基礎的研究は、我が国では数少ない。特に、教師コンサルテーションや学級全体への介入の基礎となる臨床心理学的な学級研究は、ほとんど行われていない。学級には集団としての個性が存在し、学級環境の主に心理社会的な側面の個別的・個性的特徴を包括的に捉える概念が学級風土である。学級風土は生徒の意欲や適応・学業成績などを左右することが欧米の実証的研究で明らかにされている。これらの研究では主に、米国で標準化されたClassroom Environment Scale(CES)、Learning Environment Inventory(LEI)が用いられている。そこで本研究では、我が国の教育現場に適した学級風土アセスメントの方法を開発するため、CES、LEIおよび独自の質問項目に基づく学級風土アセスメント質問紙を作成した。研究1では、作成した質問紙を北海道および九州地方の2中学校12学級で実施し、各中学校教師およびスクールカウンセラ-へのフィードバックを行った。その結果、質問紙には学級の個性が反映され、不登校発生の予測や介入の手がかりとして有効であることが示唆された。次に、研究1の結果を基に質問紙を改良し、質問紙完成のための調査を行った。学級風土アセスメントは学級が分析単位となるため、質問紙の完成には大規模な調査が必要となる。そこで、北海道内各域・関東地方・四国地方の21中学校から計85学級(2772名)を対象に調査を実施した(解析継続中)。学級風土アセスメント質問紙は、10尺度72項目(下位尺度は「関与」「満足」「アパシー」「親和性」「徒党性」「自然さ」「課題志向性と競争」「秩序と規則の明解さ」「民主性」(以上仮称))とした。質問紙集計後、協力の得られた2中学校で教師へのフィードバックを行った。その結果、学級の個性が質問紙の結果に的確に反映することが確認され、学級経営の資としても有用であることが示唆された(研究2)。
|